大きな木の木陰で、寝転びながら読むのにはピッタリ
いつもより、光や風を敏感に感じるような気がします。
大槻三好と松枝は、共に1900年代初頭に群馬県太田市に生まれ育ち、1920年代から地元で活動を始めた歌人夫婦です。共に小学校の教師でしたが、1928年の結婚を機に松枝が教員を退職。翌年、長男の出産をしますが、産後すぐに心臓の衰弱のためお亡くなりになりました。
この本は、右のページに松枝、左に三好の短歌が掲載されていて、その歌を繋ぐようなカタチで、著者の惣田紗希さんのイラストが挿入されています。
わたしが2人の短歌に出会ったのは、2018年夏に開催された展覧会『ことばをながめる、ことばをあるく 詩と歌のある風景』(太田市美術館・図書館)。とっても、印象に残った展示だったので、彼らの著書を探してみましたが、絶版でなかったので、展覧会の図録だけ購入しました。その翌年に惣田紗希さんの著書として出版されたようです。
約束の人があるんぢやないけれど誰か来さうで丘をぶらつく 三好
君に借りた本にはやはり君の吸ふ煙草の香りするも嬉しい 松枝
「ワイシヤツを洗つた夢を見てゐたの」とりとめた妻の命にまた泣けてゐる 三好
