『レンブラントの帽子』バーナード・マラマッド

『レンブラントの帽子』バーナード・マラマッド

夜はテレビのニュース番組を見る。来る日も来る日も、戦争を見ている。小さい画面の中で、でっかい戦争が燃え上がる。爆弾が降ってくると、ますます高く火の手が上がる。ときどきぼくは手を伸ばして、手のひらで戦争をさわる。ぼくの手が死ぬのを待つ。(『わが子に、殺される』の一節から)

短編を読むのは、久しぶりでしたが、あっという間の物語は、とても新鮮な感じがしました。ひとりの人間が持ち合わせている「イヤな部分」や「ずるい気持ち」、「やさしさ」や「思いやり」が、カメレオンのようにころころと変化して、とても人間くさいお話です。ユーモアを感じる文章ですが、作品全体に「もの悲しさ」が流れています。著者のバーナード・マラマッドは、アメリカのユダヤ人小説家。両親がロシアからアメリカに移民したロシア系ユダヤ人移民だそうです。物語の中の表層、下層に「国籍」や「人種」、「生い立ち」などから成り立つ彼のパーソナリティをとても感じる文章でした。

「自分のパーソナリティってどういうことだろう?」と、ちょっと考えてしまいました。

夏葉社の第一作目の本が、この『レンブラントの帽子』だそうで、やはり、人々にいろいろなことを考えさせられる本なんだなぁと改めて思いました。

『レンブラントの帽子』バーナード・マラマッド 夏葉社

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