飯能市の木造新築住宅は建築設計事務所独楽蔵へ

屋根付きアウトドアリビングのある暮らし〜24坪のコンパクト木造新築住宅〜(埼玉県飯能市)

埼玉県の西部に位置する飯能市。駅近ながら、閑静な住宅街がひろがる区画整理地内のエリアに、ご夫婦のための新築住宅を計画しました。インテリアに趣味の観葉植物を上手に取り入れ、好きな音楽に囲まれる。暮らしを愉しむセンスに満ちたお二人にふさわしく、内と外が緩やかに繋がる上質な空間をイメージしていきます。室内面積24坪のコンパクトな敷地を最大限に活かすために、ポーチを含めた本屋根付きのデッキテラス(4.5坪)を下屋部分に配置。庭と一体化したアウトドアリビング(軒下デッキテラス)が、広がりのある暮らしを紡いでいきます。

木造住宅の大きな軒下空間にアウトドアリビングを〜コンパクトな敷地を上手に活かす間取りの提案〜

1階には、900mmと大きく張り出した下屋根を作りました。大きな屋根の軒下部分は雨に濡れにくく、外壁の汚れや劣化が少なくなります。そのメリットを活かし、外観を有機的な印象に仕上げる無垢の杉板を採用。ラインが美しい南京下見張りに仕上げました。デザインと材を工夫することで、メンテナンスを最小限に抑えることができます。

ウッドデッキのテラスをご提案する時は、下屋根やオーニング(日除け)を活用して屋根の要素を作ること。外壁の素材を厳選すること。また外からの視線の目隠しをつくることなど、計画に細やかな配慮を取り入れることが大切です。機能性とデザインが調和することで、アウトドアリビングの可能性もひろがっていきます。

目隠し機能で、使いやすいデッキテラスに〜内と外の中間領域をデザインする〜

軒下は、屋根の下地や垂木はそのままあらわして、白いペンキで化粧しました。天井の高い気持ちのいい空間です。壁を計画的に配置して、周囲の視線をカットすることで、落ち着きのある空間をつくります。内壁は、構造用合板9mmの上ペンキ仕上げで、暮らした後のお客さんによるDIYがしやすいように。

雨に濡れない屋根付きデッキテラス〜室内用のインテリアも楽しめるアウトドアリビングに〜

屋根付きのデッキテラスは、直射日光が当たらず、雨に濡れることもありません。もちろん床板が濡れる心配もないので、昔から建築現場などでよく使用されている杉の足場材(厚み30mm)を使用しました。板と板の間は、あえて目地を取らずに突きつけ。雨や日光で板が変形することが少ないからできる技です。ゴミが下に落ちないというメリットもあります。室内感覚でインテリアを置いて、ランチやお茶を楽しむことも。我が家にいながら、気分はグランピングです。

玄関ドアの中央には、ちいさくちいさく、お客さんのお名前のアルファベットをあしらいました。

この住宅の特徴は、玄関の木製ドアとは別に、もうひとつの開口部があること。それがこのガラスの引き戸です。玄関の採光や通風は、すべてこちらから。特注の網戸も収納されています。ガラスの引き戸があることで、内部と外部の中間領域であるテラス部分が、より使いやすくなります。内テラスは、適度な腰壁に囲まれて、プライバシーも確保された落ち着いた雰囲気。室内と外部を繋ぐあいまいな空間の存在が、住まい全体に回遊性をもたらし、上質な時間を紡いでくれます。

リビングの南側にある屋根のないオープンスペースのデッキテラスは、屋根のついた内テラスによって、西側道路からの視線を遮られています。内テラスとテラスのつながりは、道路から直接、見えないように工夫しました。

見せる収納を楽しむ暮らし〜作り付けCD棚で、趣味のコレクションをリビングの壁に〜

ご主人の趣味は、CDのコレクションをすること。集めたCDは、単に収納するだけではなくて、リビングのインテリアとして表舞台で飾ることに。CD棚は、構造兼用の柱を細かく並べて、柱の間に棚板を渡して、柱の奥行きを利用しました。奥行きの少ないCDだからこそ成り立つ、オリジナルな収納です。

CDの高さに合わせて、柱にシャクリを入れた構造一体のデザインです。CD棚の後ろは、リビング一体の階段スペース。

階段とリビングの間仕切りもCDで。階段部分をリビングと一体化することで、コンパクトなリビングを、広い感覚で使用することができます。

リビングから玄関(西側道路方向)を見る。リビング西側に張り出した屋根付きテラスが、道路からの視線や西日を遮る役目も果たしています。