我が国の全住宅流通量に占める既存住宅(中古住宅)のシェアは14.7%(平成25年)。最近はリノベーションやDIYのちょっとしたブームもあり、徐々に増えつつありますが、欧米諸国は70~90%ですので、比べてみるとまだまだ低い水準にあります。
中古住宅は新築に比べて、購入金額も低く抑えることができますし、人口減少の中、空き家もたくさんありますので、もっと増えてもいいはず・・・。
中古住宅が敬遠される上位の理由は次の通り。
① 新築のほうが気持ちがいい
② リフォーム費用などで割高になる
③ 隠れた不具合が心配
④ 耐震性や断熱性などの品質が低そう
⑤ 給排水管などの設備の老朽化が心配
理由①の感覚は、日本人特有の中古や古いモノに対する「穢れ」や「魂が宿る」などの観念や宗教観があると思いますので、早急な変化は難しいです。理由③〜⑤は、中古住宅に対する漠然とした品質の不安から来る理由なので、安心ができる仕組みがあれば、かなり改善されるのではないでしょうか・・・。
そして、売買の際も、売り主、買い主双方に認識の相違が発生しないような仕組みがあれば、取引後の問題も少なくなるはずです。その仕組みが、既存住宅状況調査(インスペクション)の活用の促進です。既存住宅状況調査(インスペクション)とは、専門家(建築士)によって、建物の現状を調査し、報告書にまとめたモノで、既存住宅取引の際の助けにしようとする仕組みです。(義務ではありません。)
この既存住宅状況調査のおもしろいところは、今まであった住宅の性能評価や適合証明とは違い、建築の品質を判断したり、保証する調査報告ではないこと・・・。
あくまでも現状の把握。売買の際、お互いの共通認識のためのツールだというところ。
実際、検査の内容、方法もかなり簡易的にしてあります。宅地建物取引業法も、この既存住宅状況調査(インスペクション)の導入で一部改正され、「既存建物取引時の情報提供の充実に関する規定」が平成30年4月に施行されます。ということで、先日、丸一日かけて、「既存住宅状況調査(インスペクション)技術者講習」という講義を受講してきました。講義終了時に修了考査(テスト)もあって、合否は2ヶ月後ということです。