長野県小布施町の図書館デザイン

【魅力のある街には、いい図書館がある(と思う)】まちとしょテラソ(小布施町立図書館)

近くまで行ったので、小布施町の町立図書館:まちとしょテラソにちょっと寄り道しました。完成から約12年経過した鉄骨造平家建ての図書館です。設計は古谷誠章さん+NASCA。

地域の風景に馴染む外観

長野電鉄 小布施駅から徒歩5分。敷地の周りは町立のホールや町役場、小学校のグラウンドに囲まれた人の集まりやすい立地ですが、表通りからは、町立のホールの建物の裏になるので、建物の存在ははっきりとはわかりません。敷地も三角形に近い変形地です。そのような目立たない立地ですが、建物の外観も、より存在感を消すように低く抑えられています。周囲の建物より低い緩やかな曲線の屋根が、風景に馴染むように広い空を形作っています。全面のグラウンドより600mm程度低い敷地も、建物の重心の低さに一役買っているかもしれません。

三角形の平面系の一つの頂点にあるエントランスから室内に入ると、思いのほか天井の広い解放感のある空間が現れます。屋根の形状に合わせた天井は、大きく波打っていて、外観からは想像できない大らかなボリュームを感じます。

天井の高さに対して本棚は一般的な手の届く範囲で低く抑えられているので、より天井の高さを感じるのかもしれません。やはり、今はやりの手の届かない見せるだけの本棚は、利用者にもスタッフにも不親切で、図書館には必要ない気がします。

図書館は街の魅力の大きな要素

館内では壁面を利用した写真家の写真展も行われてました。地域のコミュニティ施設としても機能していることを感じます。やはり、魅力のある街には、いい図書館があると思います。そして、いい図書館は大概、カウンターで申請すると館内の写真を撮ってもいい許可がいただけます。こういう細かな心配りも、開かれたコミュニティスペースの特徴だと感じます。窓辺の低い本棚と壁も感じがとてもいいです。

建築設計者のこだわり

天井や壁の杉板張りは、板の表面にビスや釘の跡が出ないように側面から固定してありました。自動ドアや欄間のガラスの収まりもちょっと特殊でおもしろい。こういう細かな部分に設計者独自の美意識やこだわりがでます。

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