設計事務所のアトリエに突然の来訪者
先日、アトリエで、デスクワークをしていた夕暮れ時、表の玄関のほうから「すいませ〜ん!」と、わたしを呼ぶ声が聞こえました。「は〜い。」と返事をして、急いでエントランスに向かうと、見慣れない初老のご夫婦が立っています。「何でしょうか?」とお声がけすると、「私たち24年くらい前に、横浜の大倉山で、住宅の設計をしてもらったモノなのですが・・・」とおっしゃいました。
リビングの中には、掘りごたつのある上がり座敷
聞いた直後は、話の内容がよくわからなかったのですが、少し考えて、「木造平屋の母屋に、連結して平屋を増築した家ですか?」とお聞きするわたし。「そうです!そうです!」とお客さま。家の計画は、すぐに思い出したのですが、名字がなかなか思い出せず、あせるわたし。とりあえず、あがって頂いて、お話をしました。
キッチンスペースは半分クローズド
ワークスペースに保管してある、以前、手掛けた住宅のファイルの中に、その家の写真や計画案(イラスト)があったので、すぐにお見せして、お話を続けました。
24年前のことですが、計画案や写真をみると、当時のことを鮮明に思い出します。母屋には、祖父母が住んでいて、若い家族が同居のためにした計画だったこと。お子さんがアレルギー体質で、材料は、なるべく、自然素材を使ってつくったこと。
採光や通風と考えて、母屋と離隔距離を取ったり、基礎を高くして、床をあげたこと。家の裏に崖があって、崖条例をクリアするために、擁壁の方法を考えたことなど・・・。そうそう、そして、Sさんでした。
当時、小さかった末っ子くんももう、成人になったそうです
わたし自身、完成してから、崖のことがずっと気になっていましたが、東北の大震災があったときも、崩れることなく、昔のままだそうで、安心しました。写真をお見せすると、リビングは現在も家具も、使い方も同じだそうで、違うのは、大きくなったテレビだけだとおっしゃっていました。家自体は、あまり変化がなかったようですが、長い時間の中で、家族は変化しました。こどもたちは成人して(写真の子は末っ子だそうです)、祖父母はお亡くなりになったそうです。現在はご夫婦と末っ子のお子さん、3人で暮らしているそうです。
住宅計画時のコンセプトイラスト
今日は、たまたま、事務所の近所で親戚のお葬式があったそうで、その帰りに様子を見に立ち寄ってくれたそうです。お客さんも、わたしも、「うれしい」、「うれしい」の連発。事務所の中をご案内しながら、昔話に花を咲かせました。
おまけ。
「ちなみに、ご親戚の葬儀をしたそのセレモニーホールも独楽蔵で設計したモノです。」と、ご説明したらびっくりされていました。そして、そのお客さんの家も、セレモニーホールも、同じ年(2000年)に設計していたのがわかって、さらにびっくりしました。(写真とイラストは当時のモノです)
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