埼玉県入間市にある映画「となりのトトロ」に登場する里山のモデルの1つだった狭山丘陵は、今もなお武蔵野の里山の風景が残っています。ゆるやかな丘と谷が織りなす四季折々の里山の美しい景色のなかに、多くの動植物が息づいています。今回の住宅の計画地は、入間市宮寺の雑木林が隣接する市街化調整地域。狭山丘陵の縁に位置します。武蔵野風景を残す雑木林一部を造成して、武蔵野の風景に囲まれたご夫婦のための住宅を計画していきます。
南に向かって広がるオープンな平面形
南側の庭や雑木林に向かって、手を広げたように大きな開口部を配置した平面計画、大きな三角屋根が印象的な外観のデザインです。南側から住宅を見ると、外部に仕上げに木材をたくさん使った住宅のようなイメージに感じるかもしれませんが、杉板(南京下見張り)を使用しているのは、南側の軒下部分だけ。平屋ですので脚立で簡単にメンテナンスできる部分のみです。耐久性とメンテナンスの簡易さを考えたデザインです。
樋はメンテナンスを考えて最小限に
敷地の西側は背の高い針葉樹が隣接しているため、落ち葉が屋根や樋に落ちることを考慮して、南側の軒先には樋を付けていません。屋根を大きな片流れにしたのも、耐久性やメンテナンスを考えてのことです。屋根から雨水が落ちる部分は、土が跳ねて外壁が汚れますので、地面に砂利を敷き込んで雨のハネを防いでいます。