千葉県佐倉市の新築木造住宅デザイン

住宅地の中で田園借景の木造新築住宅(千葉県佐倉市 T邸)

千葉県佐倉市のJR総武本線・物井駅から徒歩5分、駅前に広がる住宅街の中に建つ住宅です。周りは区画された住宅が建ち並んでいますが、計画地はニュータウンの中の端に位置しているため、敷地の北西側は鹿島川の土手や田圃、里山の田園風景が広がります。その田園の中を総武本線の列車が横断して走り抜けます。住宅街と田園風景の境界上に建つ家の計画です。

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住宅地と田園の境界に建つ2世帯住宅

計画する住宅は、住宅地と田園の境界に建つ2世帯住宅です。2階がご夫婦とお子さん2人の、1階部分が祖母のスペースになっています。

2階リビングは空が近い開放感のある空間

リビングは敷地を斜めに切り取った三角形。真南の方角に開いたガラスの木製建具は、引き込むと幅いっぱいの3400mmを全解放することができます。その大きな開口部からは明るい日差しと気持ちのよい風がふんだんに入ってきます。南の大開口には半円形のバルコニーが段差なく続いているのがわかる。全開口する建具と相まって、気軽に出やすい中間領域になっています。住宅街の中にありながら、空の広い開放感のあるリビングです。

キッチンは床を下げて、カウンターとテーブルを一体化

キッチンの床はリビングから200mm下げて、カウンターとダイニングテーブルの高さを合わせました。テーブルは造り付けで円柱一本で固定してあるため、フリーアクセスできるテーブルになっています。

田園風景を切り取る借景の窓

2階のダイニングの北側の窓は、風景を綺麗に切り取る、ワイドビューのFIX窓と換気用の小突き出し窓の連窓サッシ。風景が額状に見えるように、窓の外側に木製の太枠を廻しています。夏の夜には、里山からカブトムシが窓に向かって飛んでくるそうです。川へ繋がる土手や広大な田んぼ、その背後には絵本のような里山と総武本線を走る電車が見えます。

北側の窓は借景に向いている

カメラで写真を撮る時のことを思い出せば、わかりやすいのですが、北側の窓から見る風景は、日の当たった側の風景を見ることになります。言い換えれば、風景が逆光にならないということ。ですから、風景が綺麗に見えて、実は借景にはもってこいなのです。ただ、注なにぶん北側ですので、冷気が足元に回り込んで居住性が落ちないように、断熱性や気密性について考慮する必要があるんです。

キッチンは造り付け。下部はオープンのカウンタータイプです。タイルとホーローシンクで製作しました。

2階リビングとダイニングスペース、バルコニー、ロフトの関係性。空間を立体的に回遊できるデザインです。2階リビング(奥)と畳のスペース(手前)は、段差なくバリアフリー。畳の部屋は現在、寝室として使用しています。和室の神棚、仏壇、仏具置き場(仏壇用の扉で開閉できるようになっています)

2世帯共通の玄関は通り抜けの土間空間

玄関の木製ドアを開けて内部に入ると、通り抜けの土間が家の反対側まで続いています。北側の川沿いの土手に靴を脱がずに直接出ることができる工夫です。

通り抜けの土間玄関:手前側が玄関で、扉(勝手口)の先は、川の土手。表と裏をつなぐ土間の両側に張り出した半円形の框の間は、子どもでも跨いで渡れる程度の隙間が開いています。隙間があることで、子どもたちが、靴のまま通り過ぎることができて、裏の土手に、直接飛び出していきたくなる仕掛けになっています。

バルコニーは玄関ポーチの庇も兼用

2階円形バルコニーは1階部分の軒下になって、玄関ポーチを兼ねるようにデザインになっています。バルコニーの支柱(鉄骨円柱)の上には、オリジナルの照明器具

掲載誌 チルチンびと/2005 WINTER 31号 特集「子どもがのびのび育つ家」

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