「里山資本主義」藻谷浩介 (個人や地域から考える経済)

「里山資本主義」藻谷浩介 (個人や地域から考える経済)

現代社会の基盤となっている化石燃料、マネー資本主義から少し距離を置いて、里山や身近な環境を利用して、地域や社会を活性化しようと試み。

「里山資本主義」・・・里山の副産物、間伐材、木くずなど(お金がかからないもの)を原料にしたエネルギーの創造、通貨を介さない地域コミュニティ、耕作放置地を利用した活動など・・・。その結果として地域の雇用の創出や税収の増加、安心、安定からくる出生率の増加、豊かな子育てなどをうたっています。

日本全体から考えると規模の小さい活動かもしれませんが、社会の変化は、個人やたぶんこのような地方の小さなコミュニティから徐々に起こっていくのではないか・・・と予感させます。

また、本書は現在の「マネー資本主義」を完全に否定しているわけでもなく、「マネー資本主義」が機能停止した際のバックアップシステムとして「里山資本主義」を位置づけているところも、とても現実的な気がします。まったく繋がりはないと思いますが、坂口恭平氏がいうところの「新政府」や「レイヤー思考」などにも考えが近いような気もしなくはない。

実際の事例として、岡山県真庭市の製材所を中心とした原料に木くずを使用する「木質バイオマス発電」(市内全世帯の半分の電力をまかなえるそうです。)や広島県庄原市のエコストーブ(ロケットストーブを改良したもの)を利用した地域づくり・・・。

木を徹底的に利用して経済の自立を目指す取り組みを行っているオーストリア(バイオマス、ペレットなどを利用した再生可能エネルギーの割合がエネルギー全生産量の28.5%)のなどなど・・・・。また、個人的にはヨーロッパで広がってる特殊な集成材を用いた木造中高層建築物も興味深いです。
たぶんこれからは日本もそういう時代の流れになっていくのではないでしょうか・・・・。

2013/09/04

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