軽トラに積まれた薪ストーブ用の薪。乾燥しているのですぐに使用可能
貨幣を介さずにやりとりされるレイヤー(世界)が存在する
藻谷浩介氏の著書、「里山資本主義」の中で、「マネー資本主義(貨幣を介した等価交換)のアンチテーゼの一つとして、「貨幣を介さない物々交換」という方法が語られていました。もちろん、あくまでも、貨幣経済と違う価値観としての「物々交換」ですので、それが新しい世界のモデルとして、社会の主流になるとは思いません。しかし、地方都市の暮らしや、ネットの世界において、サービスやセーフティーネット、食料調達などの行為が、貨幣を介さずにやりとりされる(一般的な経済活動以外の異なった)レイヤー(世界)が、人知れず存在しているのも事実です。地方の暮らしの豊かさや日常の安心において、とても重要な位置を占めているのは間違いないですし、これからの社会を考える上でも大事な要素の一つだと思います。
完成した去年の『落ち葉堆肥』
埼玉県入間市にアトリエを構える設計事務所 独楽蔵(こまぐら)では、雑木林に囲まれたアトリエで大量に生まれる落ち葉で、毎年、落ち葉堆肥を作っています。別に、何か特別な環境意識があるわけでもなく、単に袋に詰めてゴミに出すより、1カ所に集めて堆肥にしたほうが、庭掃きの作業効率がいい、つまり楽だからです。もちろん、普通ならゴミになる落ち葉が、みんなが欲しがる有益なモノに変化するのは、気持ちがいいモノです。
交換で、去年仕込んだ『落ち葉堆肥』を軽トラに積み込み
独楽蔵的、物々交換
今年も、落ち葉がたくさん落ちる季節になってきたので、去年の堆肥を空にして場所を空けなければいけません。ちょうど、畑をやっていて、堆肥をほしいという知人がいるので、毎年、出来上がった『落ち葉堆肥』を全部持って帰ってもらっています。その方が乗ってきた軽トラには、たくさんの薪が載っています。自宅の裏山で、伐採した薪ストーブ用の薪だそうです。毎年、『落ち葉堆肥』のお礼にと、薪を持ってきてくれます。これは、りっぱな「貨幣を介さない物々交換」。「落ち葉」→「ゴミ」にならず、「落ち葉」→「堆肥」→「薪(燃料)」に変身、まさにわらしべ長者のようです。とても、気持ちがいいし、至極、真っ当・・・。貨幣を使わないので、消費税が発生しないのも、うれしいところ・・・。
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