計画の経緯について
施主は、以前から長い間この地で営業を続けてきた地元密着型の老舗のセレモニーホールであり、事業拡大、既存建物の老朽化、敷地の区画整理などさまざまな理由から、本計画に至った。本計画を進めていく中で、常に考慮の前提となり、計画の中心となった考えは、遺族や会葬者と故人の最後の別れが心穏やかに、安らかな気持ちで行われるためには、式場はいかにあるべきかということである。
立地条件・周辺環境・平面計画の考え方について
計画地は、交通量の多い市街地の主要道路に面し、周囲は店舗やテナントビルなどに囲まれた典型的なロードサイドの風景の中にある。敷地は、3面が道路に面しているという好条件のため広い正面性を得ることができるが、前面主要道路の間口がそれほど大きくはなかった。不特定多数の会葬者が来場するセレモニーホールとしての外観デザインにおいて、平面的に建物のボリュームを大きく見せる工夫が必要となった。
その結果、近隣の建築及び空地の状況から、新しい建物には南方に開く対角線上の構えとなった。対角にすることによって、135°の迎えの陣の構えで会葬者を迎える形態が可能になり、さまざまな方角からのアプローチを確保することができた。