完成から15年経過、住宅地の中の「島」
埼玉県三郷市に建つ住宅展示場(三郷ハウジングステージ)の管理棟(センターハウス)です。
15年前の建物完成時は、建物の周りには、大きなショッピングモールとホームセンター、そして店舗が少しあっただけでしたが、敷地の東側には巨大な空地が広がっていましたが、そこに一戸建ての住宅が立ち並び、一つの街ができていました。
何もない無機的な立地でしたので、その中に、ポツンと一つの有機的な「島」をつくるイメージで、計画した建物です。白くて、低く、丸みを帯びたコンクリートで、縁取りされた内部の、樹木やデッキテラスに囲まれた入江をつくりました。訪れたのは冬の季節だったので、落葉樹の葉が落ちて、緑に覆われた「島」の印象が薄かったかもしれません。
木製の頬杖で支えられた軒の深い屋根は、エントランス部分のデッキテラスに大きく張り出して、深い軒下空間を作っています。この軒のお陰で、外壁や木部の劣化が少なくて済んでいます。適度にメンテナンスも行われているような雰囲気で、汚れも少なく、建物は比較的いい状態を保っている様子でした。
長い軒を支える木製の腕木
トイレスペース側から建物を見る
上部は室外機などの機械スペース
建物の左側は、通路を挟んで、トイレスペース。屋根のない外壁は、耐久性を考慮して、ガルバニウム鋼板の角スパンドレル。ダークブラウンとグリーンのストライプは、上部のタイルも合わせてあります。このセンターハウスは、背面もお客さんがアプローチできる通路になっています。裏側のない建物なので、エアコンの室外機などの機械類は、トイレの上部にスペースを設けて、パンチングメタルの中に納めました。
車両の衝突防止のため、外壁の一部は、コンクリートの基礎を高く立ち上げています。コンクリートやガルバニウムはキレイな状態を保っていました。
ボードウォークのようなデッキテラスを建物に沿って右に進むと、屋根のあるデッキスペース。適度な壁と開口部のバランスが、室内と屋外を緩やかに繋ぐ、中間領域です。大きな木製引き戸を開け放つと、一体利用が可能になる外の広場。