埼玉・飯能の住宅街に佇むカフェ【coffee OGUMA】

埼玉・飯能の住宅街に佇むカフェ【coffee OGUMA】

暮らしの隣に、小さな夢の灯りを

定年後の人生を見つめて、ご主人が選んだのは「日々の延長にあるしあわせ」でした。

静かな住宅街の一角に、ゆっくりと時間が流れるカフェがあります。ガラス越しに差し込む光、木の香り、マグカップから立ちのぼる湯気。ここ【coffee OGUMA】は、ご主人が定年を迎えたあと、長年思い描いていた夢を、暮らしのすぐ隣で形にした、ささやかで温かな喫茶店です。

【外観:切り妻型の黒い箱から飛び出した薪ストーブの煙突が象徴的です】

夢のかたちは、特別じゃなくていい

お店の建つ場所は、ご自宅のすぐ横。「大きなことはできないけれど、自分らしく、自分のペースで、好きなことをやってみたかった」そんな言葉通り、このカフェにはご主人の等身大の暮らしが静かに息づいています。

【大きな軒下から、アプローチ。エントランス部分はレンガタイルと木製建具のた佇まい】

奥さんの焼くピザトーストの香り。娘さんのやさしい笑顔。時折ふらりと訪れるご近所の方々と交わす、何気ない会話。それらが織りなす空気が、自然と店内をやさしく包み込みます。

【大きなサルスベリが目印。天気がいい日は広い軒下も喫茶スペースに】

空間のデザインも、暮らしの延長として

外観は、切り妻屋根と赤煉瓦。どこか懐かしさを感じさせる素材の選び方が、住宅街の風景と調和しながらも、確かな存在感を放っています。屋根から薪ストーブの煙突がすっと立ち上がり、冬にはぬくもりを届けてくれます。大きなガラス窓からは、外の光がたっぷりと注ぎ、アプローチや植栽とあいまって、街との緩やかなつながりを感じさせてくれます。

「日常に寄り添う場所」になるために

お店の中心には、ご主人の立つ長いカウンター。その上には、ペンダントライトが静かに灯り、空間にやさしい陰影を生んでいます。カウンターを照らすペンダントライトには、飛松灯器のSlimS drapeを選びました。壁には杉板、落ち着きと温もりを両立させた素材使いが、居心地のよさを引き立てます。

店の奥には長さ1800mmの作り付けテーブルが2つ。テーブルの奥には造り付けでベンチも作成しました。2つのテーブルを合わせて活用すると、10~14人程度で会合やミーティングができるスペースにもなります。

地域とともに、ゆっくり育つ店

特別なサービスがあるわけではありません。
でもこの店には、「ふらっと立ち寄れる」安心感や、「あの人がいる」と思える静かな信頼があります。

coffee OGUMAは、地域のなかのちいさな居場所。
これから先、ご主人やご家族とともに、ゆっくりと育ち、誰かの時間にそっと寄り添うような存在になっていくことでしょう。

【カウンターの背面は杉板の壁。ご主人の趣味の展示スペースにもなっています】

【作り付けテーブル&ベンチのディテール】

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