故人とそのご家族が、最後の夜を過ごすための家
今回、「家族葬主体のセレモニーホール計画」にあたって、最初にクライアントの方々とお話したのは、家族の方々が故人と最後に過ごす空間はどういうものだろうということでした。 セレモニーホールは、故人と親交のあった方々とのお別れの場ですが・・・、遺族にとってそれは、やはり家族だけで落ち着いてゆっくり時間を過ごすことの出来る「家」空間ではないか・・・。
それがクライアントの方々と独楽蔵との共通認識でした。
故人も含めた家族一同が同じ空間でいっしょに過ごすことの出来ること。加えて、その空間には、親戚の方々も気兼ねなく泊まることのできるプライバシー空間も確保すること。それが「最後の家」にとっての必要な条件でした。
私達は、家というプライベートな空間を視覚的・心理的に演出するために、 その建物もセレモニーを行うホール部分とあえて構造上分離して、通常であれば、「遺族控え室」という部屋空間で終わってしまう家族の居場所を最大限大切に考え、庭を含めた上質な個人の邸宅を造るつもりで計画しました。

写真左側:式場ホール部分+写真右側:家(遺族控え室部分)

ホール部分エントランス

木造の平屋建ての「家」(遺族控え室スペース)(写真右側)は庭を挟んで専用の渡り廊下により、ホール(式場)部分(重量鉄骨造)(写真左側)とつながっています。今回のセレモニーホールでは、故人の棺が通夜が行われるホールから家族のスペース、そして翌日の葬儀のために再びホールへと・・・、スムーズに移動できる動線計画も鍵となりました。

最後の夜を家族でゆっくりと過ごすことの出来る家(木造平屋の別棟)

遺族控え室のリビング
窓の外は、式場ホールの建物との間にあるプライベートガーデン(中庭)がみえます。

遺族控え室の開口部から中庭をみる。中庭の向こうに見える建物が別棟の式場

ダイニングスペース

造り付けダイニングテーブル(遺族控え室)


和室(遺族控え室):6畳+6畳
親戚の方々がお集まりの時も、別々の部屋として使用することが可能です。

故人の棺スペースと和室部分(遺族控え室)
通夜の後、故人の棺を式場から、このスペースに運んできて、ご家族と一緒に過ごすことが出来ます。

エントランスホールから中庭、遺族控え室に続く渡り廊下を見る

ホールから、お清め室をみる


家族葬式場

家族葬 清め所

私自身、数年前に祖父が亡くなった際に、通夜の夜、祖父の棺と家族とで一緒に泊まった経験が、本当にいい思い出として残っています。「祖父のおかげで、普段、会うことのない親戚の方々や家族のみんなと集まることが出来てよかったね。」などと、実際に家族で何度も話をしました。
最後に故人を囲んで、家族の思い出が、もう一つ出来るようなセレモニーホールになればいいなぁと思っています。
埼玉入間市下藤沢820-8
その後の暮らし:家族のためのセレモニーホール(入間市藤沢)完成から6年目
関連ブログ:【入間市藤沢に家族葬主体のセレモニーホールが完成しました。】設計事務所の建築デザイン 2014/07/23
関連ブログ:【埼玉県入間市藤沢のセレモニーホールの現場】 設計事務所の建築現場 2014/02/07