埼玉県川越市/入間市 無垢材の木造新築住宅

子育て世代の成長に寄り添う家〜開放的な間取りと可変性を大切に・埼玉県川越の木造新築住宅〜

JR川越駅から線路と並行に南に向かって徒歩6分。そこから脇の道に入ると、静かな住宅街が現れます。長い短冊状の敷地が3区画並んでおり、それぞれ独立した一戸建てを計画しました。3件の住宅は個別の建物ですが、三軒両隣として緑やデッキテラス、空地などの環境は、緩やかに共有しようというものです。今回は、その真ん中に位置する一棟の計画です。

お客さまは、3人のお子さまがいる5人家族。ご夫婦は、家族みんなで過ごす時間を何より大切にしています。子どもの成長と共に、ライフスタイルが大きく変化していく子育て世代にふさわしく、明るい開放感と、あたたかい包容力に満ちた空間づくりをめざしていきました。ご家族にとって一番のベースとなるリビングを広く確保するための間取りの工夫や、細やかな収納アイディアを散りばめて、ストレスフリーで幸せな暮らしが始まります。

川越駅から徒歩5分。利便性の高い街なかに、子育てファミリーの有機的な住まいを描く

南面道路で接道する敷地は、道路に対して南北の奥行きが深い短冊状の土地です。東西の両側には、同じ短冊状の建物が建っているので、開放感のある空地は南側のみになります。しかも南に面する長さは限られています。計画するのは一戸建ての木造住宅ですが、感覚的にはテラスハウスに近い形態といえるでしょう。そこで南側の面を上手に活かして、光や風の通り道を考えた、気持ちのよい空間デザインを見極めていきます。

細長い敷地を活かした空間デザイン〜リビングと玄関のちょうどいい位置〜

限られた南側の間口は、なるべくリビングの南側に開口部を広くとって、陽当たりのいい明るいリビングにしたいところですが、限られた南側の間口には、入り口(玄関)も必要になります。構造的に構造壁も必要になりますので、リビングと玄関の幅のちょうどいい位置を探りながら計画していきました。

細長い敷地に建つ家は、玄関をリビングに取り入れて開放感を〜広さを感じる間取りの工夫〜

日常的に過ごすことの多いリビングを少しでも広く感じられるように、玄関とリビングの間には、直角のガラス引き戸を2枚作りました。2つの木製建具を開放すると、玄関はリビングと一体の空間になる工夫です。玄関からリビングを見せたくない時は、ロールカーテンでクローズにすることができます。季節やライフスタイルによって、柔軟に空間の使い方を変えることができる空間づくりが大切です。

家族のスムーズな動線を考えた間取り〜キッチンをリビングと玄関の交差点に〜

この家の1階は廊下のない配置計画になっています。リビングとの関係性や入り口から動線を短くするために、キッチンはリビングと玄関の交差点に配置しました。玄関のL型のガラス引き戸の片側を開けるとリビングを緩衝せずに出入りすることも可能です。お子さまが3人いるファミリーは賑やかで、一人ひとりの動きもアクティブです。スムーズな動線をつくることで、日々のルーティンワークに快適性が生まれます。

上手に片付け、いろいろ飾って。子育て世代の楽しいリビング〜ランドセル収納のある多機能TVボード(造付)〜

リビングのTVボードは造り付けを製作。デコレーションのための飾り棚や収納、小物を吊すためのフックなど多機能な造り付け家具です。家具の側面には、お子さまが帰宅後、学校の道具やランドセルなどを自分で片付けられるように専用の収納棚も作りました。子育て世代は、家族みんなのルーティンが、リビングにぎゅっと集中します。しっかり収納スペースを確保し、コミュニケーションが取りやすい間取りや動線を計画することで、みんなが気持ち良く過ごせる時間が生まれます。

廊下をなくして、階段をリビングに取り入れる〜階段下スペースを有効活用〜

階段の手すりも低めにして、スプルス材(木製)の丸棒で造作。階段下のアールコーブ(くぼみ)は、小さな家がふたつ並んだようなデザインに。階段も含めて、室内のインテリアのひとつになります。学習机や収納、お気に入りのものを飾っても素敵です。子どもは遊びの天才ですから、こういうスペースを秘密基地にしたりすることも。あえて用途を決めない空間デザインが、子どもの自由な発想を刺激していきます。

子育て世代のダイニングスペースは、素材にこだわり、動線にこだわる。

キッチンカウンターやダイニングスペースの壁は、タモ材の化粧合板を使ってアクティブに。常に触れる部分なので、肌触りの良い木製の材料で有機的に仕上げました。お気に入りのものを張ったり飾ったりするときは、美しい背景にも。部屋の奥で暗くなりがちなダイニングは、北側の壁(奥は洗面脱衣室)に大きなガラスの欄間と食器棚のサイドから、補助の採光を取り入れます。

細長い敷地を活かした間取りのアイディア〜1階は広々と、開放感溢れるワンルーム〜

1階は庭に面した南の大きな開口部から、北側までワンルーム。隅から隅まで見渡せて、窓を開け放てば、光と風が通り抜ける、どこまでも気持ちの良い空間です。家族みんなで食卓を囲んだり、おしゃべりしたり、勉強したり。かけがえのない時間が、ここで紡がれていきます。

床は杉の無垢材、オイル仕上げ。幅広(150mm)の無節を使用しました。スギの無垢材は、アタリが柔らかくて暖かいので、特に子育て世代のご家族にはお勧めの床材です。子どもは五感をフルに使って、新しい住まいでの暮らしを楽しみます。その手ざわり、匂い、本物の素材のあたたかみをしっかりと肌で感じる経験を、大切に。そういった記憶ひとつひとつが、子どもの美的感覚や価値観を育んでいくのかもしれません。

明るく、外に開かれた玄関ポーチとパーキングエリア。既製品カーポート屋根を使用したハイブリット車庫は、雨の日も濡れずに、家に入れます。カーポートの台座(脚)、取付金物は製作。