埼玉県入間市の新築木造住宅は一級建築士事務所/KOMAGURAWESTへ

生まれ育った土地に、ちょうどいい終の住み処を

60代ご夫婦・木造平屋21坪の住み替えプロジェクト

ご夫婦がそれまで暮らしていたのは、敷地を同じ町内の施主様のご両親が建てられた、築50年ほどの木造2階建ての住宅でした。

当時としては標準的な仕様でしたが、断熱性はそれほど高くなく、夏は暑く、冬はとても寒い住まい。年齢を重ねたお二人にとって、その温度差は身体にこたえるものでした。

最初の打ち合わせで、お二人がご希望されたのはまず、平屋でバリアフリーを考えた建物であること。
リビングは陽当たりや風通しがよく、天井の高い空間で、日常的に手や目が触れる場所には、自然素材を使いたいということでした。

「リビングの前面に広縁をつくりたい」というご要望もありました。
お話をよくお伺いすると、それは、和風のリビングをご希望しているわけではなく、「広縁がなければリビングが寒くなってしまうのではないか」というこれまでの暮らしから来る不安があったようです。

設計に際して標準的に採用している断熱仕様であれば、広縁がなくても室内の温熱環境は十分に確保できます。そのことをお伝えして、その案は計画から外すことになりました。

こうしたご要望を踏まえて計画したのが、ご実家の近所の土地に建てる、木造平屋21坪の住まいです。
足腰に不安を抱えるお二人にとって、日々の暮らしをどれだけ快適に、使いやすくできるか。それが今回の設計の出発点でした。

キッチンの形状、生活動線、細部の寸法。一つひとつにこだわり、お客さんに合った暮らしやすさを丁寧に積み上げていきました。

トイレでは、便器の高さは選べないものを使う以上、床の高さを上げることで、お客さまにとって使いやすい高さに調整。バリアフリーはもちろん、洗面台や各所の手すりの位置も、設備の担当者と相談しながら細かく決めていきました。

手すりも既製品では味気ないため、ヒノキの丸棒を採用。手にふれたときの感触まで考えています。鏡の枠もヒノキで製作し、住まい全体に自然素材のあたたかさを取り入れました。

そんな打ち合わせを重ねていたある日、お客さまがぽつりとつぶやかれました。

「長﨑さん、前回の現場でわかったんですが、今日来てくれている設備屋さん、小・中学校の同級生だったんですよ」
思わず声が出ました。卒業以来、おそらく50年ぶりの再会だったそうです。

家づくりをしていると、こうした縁に出逢うことが、たまにあります。ふるさとを離れて長い私にとっては、少し羨ましくもある出来事でした。
自分が生まれた土地で生き続けること。その地域の人たちと、つながり続けること。それはとても豊かなことだと、あらためて感じます。

そして、こうした偶然とも必然ともいえる出来事に出逢うと、この家づくりが正しい方向に進んでいる気がして、安心と幸せな気持ちでいっぱいになります。

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