飯能市の住宅街に建つ家は、完成してから約13年経過。区画整理地域のため、周りには新しい住宅も増え、道路も新しく舗装され、周辺の風景が少しづつ変わってきました。
しかし、新しい住宅が建ち並ぶ可能性もあった敷地の南側は、まだ空地のままです。目の前に家が建ってしまっても、室内の採光、通風や敷地内の環境が保たれるように、庭やデッキテラスなどのアウトドア空間を広めに計画しましたが、今もなお、自分の庭と空地が繋がって、広い空を独り占めできています。
屋根のある「インナーデッキ」と音楽を愉しむための家
飯能市の住宅街に建つ家は、完成してから約13年経過。区画整理地域のため、周りには新しい住宅も増え、道路も新しく舗装され、周辺の風景が少しづつ変わってきました。
しかし、新しい住宅が建ち並ぶ可能性もあった敷地の南側は、まだ空地のままです。目の前に家が建ってしまっても、室内の採光、通風や敷地内の環境が保たれるように、庭やデッキテラスなどのアウトドア空間を広めに計画しましたが、今もなお、自分の庭と空地が繋がって、広い空を独り占めできています。
この家の特徴は、大きな屋根の掛かった「インナーデッキ」があること。このデッキは、玄関ポーチと勝手口の収納スペースも兼用していて、袴のように、建物の西側と南側半分をL型にグルリと囲んでいます。適度な壁と開口部をミックスして、隣地の建物ができた場合の視線やプライバシーを考慮しています。
季節がもう少し暖かくなれば、リモートワークのスペースとして活用してもいいかもしれません。
使用したデッキの材料は、杉の厚板。通常は、耐久性に問題があるので、デッキ材としてはあまり使用しませんが、屋根がありますから安心です。13年経過した現在も、いい状態を保っています。逆に経年変化で、いい味が出てきたような気がします。インナーデッキから続く、リビング手前の露天のデッキ材は、セランガンバツ材を使用して、材料を使い分けています。
西側の外観:下屋根の軒下部分は杉板の南京下見板
玄関ポーチ:ラワン縦羽目板の木製玄関ドア
インナーデッキの内壁は、構造用合板に白のオイルペンキ
デッキ材は杉板ですが、屋根があるので13年経過しても大丈夫
リビングの南側は幅2700mmの大きな木製の開口部。気密性と景色の見え方を考慮して、FIXガラスとガラス引き戸の大きさを2:1に分割してあります。ペアガラスは、大きくなると重いですし・・・。
リビングの北側は、ご主人の膨大なCDコレクションを収納するための壁面スペース。見せる収納になっています。CDケースはサイズが均一なので、構造用の柱の厚みを利用して、CD収納棚を造作しました。壁一面のCD棚の姿は、SHOPのようで、いつ見ても壮観です。
お伺いするといつも、ご主人オススメのCDを聴かせてもらいながら、コーヒーを頂きます。今日のレコメンドは、アルゼンチンやスペイン、ブラジルのアーティストたち。初めて聞く名前の人たちばかりですが、なんだか懐かしい気持ちになります。「サウダージ(saudade)」でしょうか・・・・。日差しが室内に長く伸びて、窓辺がポカポカと暖かい。今日のような冬の午後に、よく似合う曲ばかりです。
階段もオープンでリビングと一体化
リビングからキッチン方向(西側)を見る
キッチンのスポットライト
リビングから玄関土間を見る
「お茶の間」とは、住居の中で、家族が食事やだんらんなどをする部屋のことですが、聞かなくなって、ずいぶん時間が経ったような気がします。
今では、LD(リビング・ダイニング)がその役割を果たしていますが、「お茶の間」というと、和室のタタミの上に、丸いちゃぶ台があって、家族揃って食事をしているという風景が頭に浮かびます。
この家では、今でもリビングから繋がる畳スペースのコタツで、食事をされているそうです。テレビもここにあります。これってイメージ通りの「茶の間」だなぁ〜と思いました。
家の新築にあたって、リビングも物理的に広くなるので、今までの座卓の生活から、ダイニングテーブルと椅子の食生活に換えるご家族も多いですね。
しかし、人の習慣や落ち着きを感じる感覚は、なかなか変わらないもので、数年経って、コタツ生活に戻るご家族も少なくない気がします。計画の際には、そういう可能性も考慮に入れておくことも必要かもしれません。
もし、そうなのであれば、「お茶の間」もちょっとスマートに・・・。
この畳スペースは、リビングの床から250mm高い上り座敷にして、リビングのソファに座った状態と、目線の位置を合わせています。椅子と、タタミの床づかいの暮らしを違和感なく馴染ませる方法の一つです。
和室はリビングから250mm床を上げた上がり座敷