埼玉県入間市の木造中古住宅の現状調査

中古住宅の購入にあたって、現地(入間市)で建物の現状確認とアドバイス

以前のお客さんから「シロアリを調査できる業者さんを紹介してくれないか?」というご相談のメールが届きました。お話を伺うと、娘さんのご家族(ご夫婦とお子さん)が中古住宅を購入するのにあたって、建物の状態が心配なので、調べて欲しいとのことです。「もちろん、ご紹介はできますが、購入を検討されている中古物件であれば、わたしが家の劣化具合や耐震性、敷地の状態などをみて、現状についてご説明もできますし、アドバイスもできますよ。」と返事をすると、お願いしますという流れになって、ご家族の皆さんと内覧の立ち合いに行ってきました。

まずは敷地の把握から。段差や崖の擁壁を確認

ご家族と入間市の古い住宅街の中の端に位置する現場に到着すると、すでに不動産屋さんが到着されていて、家の鍵を開けてくれています。さっそく、家の中に入りたいところですがまずは敷地全体をチェックします。この敷地は傾斜地で、敷地の北側が道路で敷地と接していますが、家の建っている地盤は道路から約3m下がった位置にあるので、北側は高さ約1.5mのブロックの擁壁が土留めになっています。周りの土地には、その道路より高い部分はありませんので、土圧もあまり気にする必要はなさそうです。ブロック自体からも湧水はなさそうです。家と擁壁の間はコンクリートの土間が打ってありますが、強い湿度も感じなので、苔やカビなども大丈夫そうです。

家の南側は広めの庭が雛壇状に2段下がっていて、南の隣地との間は約4m程度の落差で下がっていて、玉石の擁壁が組まれています。住宅の築年数が約50年ですので、少なくとも50年間は、崩れることなく大丈夫だったわけで、「経験的に考えると安全性は大丈夫だと思いますが、近年の局所的なゲリラ豪雨などの異常気象を考えると絶対に安全だとはいえません。」というお答えをしました。ただ、万が一、擁壁が崩れた場合でも、住宅と擁壁の距離がありますので、住宅への影響は少ないのではないかという見解を申し上げました。

中古住宅の外回り、屋根、外壁、基礎の状態をチェック

この住宅は築50年の木造平家住宅でした。屋根は瓦葺。北側の道路が高いので道路から屋根面はざっくり確認することができます。特に目立ったズレもなく、大丈夫そうです。屋根材の横綱はやはり「瓦」です。材料自体の耐久性もありますし、断熱性も高いです。唯一の欠点は、重量が重いことですが、この家は平家なので、全く問題ないといえます。定期的なメンテナンスは必要ありませんが、台風や地震などでズレた場合は、雨漏りの原因になりますので、その可能性がある場合は気をつけておく必要があるでしょう・・・。

5o年経過した建物ですが、外壁や基礎部分に致命的な欠陥やクラックはありませんでした。家自体も不同沈下してなさそうですので、地盤も思ったよりいいのかもしれません。水路や湿気もなさそうなので、比較的乾いた状態を保った地盤だともいえます。

外壁の劣化や汚れが少ないのは、屋根の軒が深いオーソドックスな形状の住宅だからです。やはり、風土にあった屋根の形状だと言えます。

中古住宅内部の確認:まずは床下と天井裏(小屋裏)のチェック

建物に入ったら、まずは室内の空気を感じてみます。空き家になってから、どのくらいの時間を経過しているか確認して、「嫌な匂いなどないか?」、「カビ臭くないか?」、「湿気を感じないか?」など、臭覚でチェックしていきます。

大概、台所か脱衣室に床下収納がありますので、そこを開けて床下の状態も確認します。50年前の建物なので、当然、布基礎です。床下を覗くと土が見えます。全体の湿度の状態や土台、束、大引き、根太など劣化や浮きがないか、シロアリの形跡がないかをチェックしていきます。

中を懐中電灯を片手に覗いてみると、地面は乾いていましたし、ある程度の空気の流れを感じました。適度に通気はされているようです。木材の劣化も全体的にはないようです。天井裏はユニットバスの天井点検口から覗きます。風が流れていましたので、こちらもある程度の通気はあるようです。脚立を用意していませんでしたので、天井の断熱材はチェックできませんでした。

次は住宅内部の内装と住宅機器(システムキッチン・ユニットバス・トイレ・洗面台)などのチェック

次に部屋の内部の内装仕上げの状態や、住宅機器類(システムキッチン・ユニットバス・トイレ・洗面台)の仕様を確認していきます。

内装は真壁のクロス仕上げが多いので、クロスは張り替えてもいいかもしれません。リビングの一部に雨漏りの痕跡があったので、後で外に回って屋根を確認してみます。システムキッチンや洋便器、洗面台は比較的新しいようでした。不動産屋さんに確認したところ、15年前に一度、リフォームをされているようです。ユニットバスは少し古い感じがしました。アルミサッシもほとんど、ペアガラスなので、これも過去のリフォームの際に、取替えされたのかもしれません。リビングの窓からは庭がきれいに見えます。

雨漏りの原因を探すために再び外部の確認

リビングの雨漏りの箇所を外から見てみると、ちょうど屋根瓦と外壁の接点がありました。ステンレスの板金で、外壁に立ち上がりを作ってありまますので、雨漏りの補修の形跡かもしれません。(元々、の立ち上がりの可能性もあります。)雨漏りの原因は、たぶん、この部分だと思われますので、補修する場合にも難しくないかと思われます。

有機的な庭の植樹

たぶん、前のオーナーさんが庭をきれいにされていたようで、モミジやヤマボウシ、キャラ、ツバキなど、感じのいい立派な樹木がたくさん植っていました。株立ちのアオハダ(ウメモドキかも・・・)には赤い実がたくさんなっていました。よく見てみると枝に蔓が絡んで、ムカゴがたくさんなっていました。豊かな庭です。

もし、気になっている中古住宅がありましたら、現状調査や改修のアドバイスをしますので、お気軽にご相談ください。

コラム:【既存住宅状況調査(インスペクション)合格しました!】

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