
天井の高い蔵空間で、静かに自習中
歴史を受け継ぐ建物に新しい役割を
江戸中期から地元を含め、関東近県で親しまれてきた「キッコーブ醤油」。入間市の繁田醤油さんは、300年近く、その味と文化を守り続けてきました。

歴史を感じる板張りの壁
約10年前に敷地内に点在する工場・蔵・日本家屋を大規模にリノベーション。旧工場を含む建物群を貫いて、南北に細長い敷地全体を結ぶ一本のまっすぐな[STREET]を計画し、歴史的な建物に現代的な都市軸を通すという大胆な設計が実現しました。古き姿をまといながらも、新しい時代を感じる空間に生まれ変わった瞬間でした。

「西山荘」ストリートの配置図
蔵を活かした「子どもたちの自習室」
現在は、そのリノベーション空間の一部を活かし、地域の子どもたちのための居場所づくりが進められています。特に印象的なのが、大きな蔵を改修してつくられた「蔵の自習室」(@kuratosho_iruma
)。対象は中学生から大学生まで。放課後や休日に安心して過ごせる、落ち着いた学びの場として地域に開かれています。
この取り組みは、単なる建物のリノベーションにとどまらず、**「地域資源を再生し、新しい機能を吹き込む建築の力」**を象徴しています。

蔵の出入り口
広がる地域活動とまちづくり
蔵の自習室では、不定期に読み聞かせやお話の会が開かれ、他団体による子ども食堂も開催されています。活動の多くはボランティアによって支えられていますが、子どもの居場所が減ってきている今の社会において、とても貴重で意義深い取り組みです。

代表の方によれば、当初は「どのように進めるべきか」と模索していたそうですが、仲間の「とにかくやってみよう!」という声に後押しされてスタートしたとのこと。完璧な準備よりも、まずは実践する。その精神が活動を継続させる大きな力になっているのだと感じました。

黒須地域に息づく建築遺産と文化
入間市黒須地域には、繁田醤油の建物群をはじめ、西洋館や旧黒須銀行、そして少し足をのばせば文化創造拠点「アミーゴ」など、魅力的な空間が数多く残されています。これらの歴史的建物が相互に連携して活用されれば、**「建築を通じた地域再生」**がさらに進み、まち全体が豊かに響き合っていくことでしょう。

お醤油の工場内を貫くストリート

建築設計事務所 独楽蔵(こまぐら)では、新築の木造住宅はもちろん、オフィスや古民家、中古住宅のリフォーム、リノベーション、現況調査や耐震補強などのご相談もお受けしています。今、お住まいの住宅で、気になっている部分、ご不明な点や疑問点などあれば、電話やメールなどでお気軽にご相談下さい。
建築設計事務所 独楽蔵(こまぐら) 担当:長崎まで
04-2964-1296 komagura@komagura.jp
リノベーション完成当時の様子はこちら→繁田醤油(株)大規模リノベーション [ 西山荘 STREET ]
独楽蔵 建築設計事務所 ホームページ top
ブログ top


