【東京都東村山市の新築木造住宅】床面積33坪の2世帯住宅

床面積33坪 の狭小地に家を建てる〜みんなが笑顔になる2世帯住宅(東京都東村山市)〜

東京都東村山市にある昔ながらの穏やかな住宅街。敷地の北側には、なだらかに広がる狭山丘陵。八国山緑地や北山公園を身近に感じる自然豊かなエリアです。もともとご両親が住んでいた住宅を建て替えて、新築木造2階建ての2世帯住宅にする計画です。

お客さまの家族構成は、小さなお子さまが2人いる子育て真っ最中のファミリーと、奥さまのご両親の合わせて6人。それぞれの生活が尊重される気持ちの良い空間をめざして、計画を進めていきました。

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東京の狭小地に2世帯住宅を建てる〜限られた敷地・条件の中でも叶う、のびやかな暮らし〜

都内の一般的な住宅地(第1種低層住居専用地域)は、建ぺい率 40% 容積率 80%と建物を建てる上では、かなり条件が厳しい場合が多いですが、まわりの住環境が保たれるというメリットもあります。今回のプロジェクトの一番の課題は、限られた敷地、条件のなかで、ゆったりとした空間を実現すること。建ぺい率・容積率をめいいっぱい使用して、最大約33坪の中で、2世帯の新しい暮らしを考えていきます。

2世帯住宅の場合は、まずゾーン分けから。バリアフリーなども考慮して、1階は親世帯、2階が若い世帯に分けることにしました。玄関とお風呂は1つで、キッチンはそれぞれ独立した2世帯住宅です。

ウッドデッキのバルコニーをアウトドアリビングに〜容積率の解決策としての空間デザイン〜

2階の若いご家族は、子育て真っ最中。のびのびとした暮らしが楽しめるように、リビングの前に大きなバルコニーをつくりました。アウトドアリビングとして活用できるバルコニーは、床面積には入らないので、狭小住宅に開放感をプラスするアイディアとしても最適です。1階の庭と2階のバルコニーを行き来できるように、外タラップ(階段)を設けることで、空間に回遊性が生まれます。

家外空間を楽しむために〜バルコニーやデッキテラスにあると便利なオーニングのすすめ〜

デッキを活用するために活躍するのがオーニングです。オーニングとは、日除け、雨よけのためのテントのこと。カフェやショップのフロントに取り付けてあるのをよく見かけますが、機能的で便利です。天気に合わせて長さも調整できますし、法的には建物ではないので、お手軽です。

そして店舗などの建物で機能的なものは、やはり住宅にとっても便利で快適です。特に設置をおすすめしたいのが、リビングの南側の大きな開口部。ここにあると、室内に夏の熱い日差しが入るのを防げるので、夏を涼しく過ごすことができます。オーニングの下は室内が延長した感覚なので、庭との距離感が近くなります。

限られたスペースを有効に使うために〜階段室の有効利用〜

リビングをより広く感じるために、廊下をなくし、階段スペースも室内に取り込んであります。2階がワンルームで、空間自体に広がりができますので、部屋の圧迫感も少なくなるかもしれません。

階段部分を取り込む際、気をつけるポイントに「熱」の移動があります。冬の暖気が上に昇ってしまったり、夏の冷房が階下に降りてしまったりと、室内の快適性を損なう恐れがあるからです。建具で開閉したり、ロールカーテンで塞ぐなどで、熱の移動を遮れば良さそうですが、せっかくリビングと一体にした意味合いも薄まってしまいます。

より良い解決策として、家全体の断熱性能を上げることがあります。断熱性能があがると、上下階の温度差が劇的に少なくなりますので、室内の快適性は保たれます。断熱性の差は、はっきりと体感できるほどの差がありますので、断熱材にかける予算はしっかり確保することが大切です。

2階は廊下のないワンルーム

2階の間取りは、LDK+寝室が3つ。階段を登るとすぐに居室空間で、2階には廊下がありません。天井まである大きな引き戸を開け閉めすることで、ワンルームになったり、個室を作ったりできる自由な間取りです。お子さまの成長にあわせて、暮らし方は大きく変わっていきます。可変性のある空間は、親子共にストレスフリーな過ごしやすさを育みます。

階段の手すり兼用の造り付け本棚&ダイニングテーブル

造り付けの本棚は、階段の手すり兼用です。壁の厚みも利用して、厚みをコンパクトに仕上げてあります。お子さまも使いやすいので、片付けや整理整頓の習慣が自然に身につきます。本棚の中央からは、ダイニングテーブルの跳ねだし。

道路の高さ制限をいっぱいに利用した東向きのキッチン

東向きの明るいキッチンは、高さ制限のあるスペースをうまく利用して配置しました。複雑な動線がないシンプルな空間なので、キッチンまわりの家事もスムーズに進みます。

ペンダントライトは、ホーローアンティークの一点ものに〜リビングをあたたかく照らす照明の選びかた〜

ダイニングのペンダントライトは、琺瑯(ホーロー)のシェードがお望みとのことでした。いろいろな照明メーカーのカタログを見ても、お客さんがピンとくるものがありませんでした。そんななか、立ち寄った近所のアンティークショップに、ちょうど良さそうなライトがいくつかあったので、お店の方に写真を撮らせていただき、お客さんに提案してみました。「これがいい!」と深緑のランプで即決。コードの長さを調整して、テーブルにセット。素朴であたたかなご家族の雰囲気にぴったりで、このリビングに来るべくしてやってきたライトなのだと思いました。

玄関には世界にひとつのドアを〜建具屋に特注した木製ドア〜

敷地の斜線制限の関係で、玄関ポーチの軒は深く出せません。強風雨の際には側面から濡れてしまうので、設計の段階では、耐久性のある既製品ドアをご提案していました。

しかし工事が進む中で、お客さまから“やはり木製のドアにしたい”というご相談がありました。そこで建具屋さんに依頼し、お客さんのためのオリジナル木製の玄関ドアをデザインすることに。素材は、丈夫で経年美を楽しめるラワン材。お客さまのオーダーで、シンプルなデザインに。ポイントに、ちいさなガラス窓を添えました。施主のイニシャルは、もちろん「i」です。

2階のバルコニーに続く赤い外タラップとポストが、外観のアクセントに。これから育ちゆく木々は、家族の未来を見守ります。

子育て世代の素材にこだわる家づくり〜ほんものに触れることの大切さ〜

新しい家の床材は、オークの無垢材、ワックス仕上げ。寝そべったり、転がったり、走り回ったり、お子さまは全身をフルに使って新しい暮らしを楽しんでくれます。本物の素材感と子どもの五感は、気持ち良く響き合うようです。五感の中で忘れられがちな「触覚」ですが、こどもの成長過程においては、とても大事な感覚。ほんものに囲まれて、成長してほしいと思います。