玄関は、家と社会の境界|礼儀と作法から考える

新しく改修した玄関ポーチ

玄関の役割とは?礼儀と作法から考える玄関設計

玄関は、家(ウチ)と社会(ソト)の境界

夕方、打ち水と盛り塩で清めを済ませて、お客さまを待つ料亭の玄関。テレビの時代劇では、出かけていく十手持ちが、切り火で送り出される場面があります。

玄関は、家(ウチ)と社会(ソト)との境界です。外と内の接点だからこそ、験担ぎ(げんかつぎ)や厄除けの風習が、玄関に生まれたのだと思います。

玄関は、気持ちを切り替える場所

社会の一員として必要な作法やけじめを、気持ちを切り替えながら身につける。玄関には、そんな役割もあったのではないでしょうか。

最近は、心があらたまる場所や習慣が、めっきり少なくなりました。自由に暮らし、生きることが度を過ぎてしまうと、社会との間でも、家族のような親しい間柄でも、多少の礼儀やけじめがあったほうが、豊かな日常を過ごせる気がします。

昔の玄関は、礼儀とけじめの空間でした

昔の玄関は、今と比べると素朴なつくりでした。それでも、来客の有無にかかわらず、水盤に花が生けられ、清潔な佇まいが行き届いていました。

リビングやキッチンなど、動きのある他の空間とは対照的に、明かりは抑えられ、きちんと整えられた、音のない静かな空間です。

お客さまが来れば、両膝をついてご挨拶をする。子どもは、高い玄関框(かまち)の上から手を伸ばして、靴を揃えていました。

何かのはずみで玄関框に傷をつけたり、泥足で室内に入ったりすると、親にしぼられたものです。

いらっしゃるお客さまのほうも、身だしなみが乱れていないか、靴の裏の汚れは大丈夫かと、自然と確かめてしまいます。

背筋がピッと伸びて、身が引き締まる。玄関の建具を開けるときも、心持ち、そろそろと開けてしまいそうです。

今の家に、玄関の作法を取り入れるには

今の暮らしでも、玄関に「気持ちを切り替える」役割を持たせることはできます。

所沢市の日本家屋のリノベーションでは、横のラインが美しい格子戸が、外からの光を誘います。よく来客のあるお宅なので、玄関には朱色の小机を置いて、迎賓の心をあらわす、すっきりと上質な空間を心がけました。

また、川越市の木造新築住宅では、普段使いの玄関と、来客用の正式な玄関を分けました。来客用の玄関は、普段は使わないので、急なお客さまのときでも、きれいに保っておけます。

ドアは、ガラスのない重厚な木製建具にして、採光は脇のスリット窓から。スリットの脇には、来客用のミニテーブルを置きました。小さなスツールを添えておけば、簡単な接客は、リビングに通さず、この空間で済ませられます。

子育て真っ只中のご家庭は、リビングをいつも片付けておくのが、なかなか難しい時期です。こうした玄関があるだけで、日常の小さな悩みが、ひとつ減ります。

玄関は、ただの出入り口ではなく、気持ちを整える場所。暮らしに合わせて、そのつくり方を、一緒に考えていけたら嬉しいです。

【関連コラム】
・ガレージでバスケができる家(川越市)はこちら
・玄関ポーチの広さと使い方|家族に合わせた設計
・下足入れ(靴箱)の奥行き寸法|400mmの理由
・入母屋造りの日本家屋リノベーションはこちら

玄関のつくり方や、来客の迎え方について、ご相談になりたいときは、お気軽にご連絡ください。

KOMAGURA WEST ホームページ TOP
WORKS TOP
その後の暮らし TOP
その後の暮らし 住宅(10年未満)
その後の暮らし 住宅(10年以上)
コラム TOP

KOMAGURA WESTでは、新築の木造住宅はもちろん、オフィスや古民家、中古住宅のリフォーム、リノベーション、現況調査や耐震補強などのご相談もお受けしています。

また、今、お住まいの住宅で、気になっている部分、ご不明な点や疑問点などあれば、電話やメールなどでお気軽にご相談下さい。

建築設計事務所 KOMAGURA WEST 担当:長崎まで
04-2964-1296 komagura@komagura.jp