リノベーションは間取りの再構築から〜家族が集まるリビングを、一番居心地の良い場所に〜
築40年、日本瓦の入母屋の家は、中央の広い玄関ホールに大きな階段、玄関ホールに面して西側(左側)が、和室の続き間の客間、東側(右側)が応接間と台所という昔ながらのオーソドックスな間取りの家でした。もともとはご高齢のお母さまの一人暮らしでしたが、リノベーションを機に息子さんご家族も一緒に暮らします。それぞれのプライベート空間をゆるやかに確保する1.5世帯住宅を計画するために、間取りの見直しをしていきます。
かつての伝統的な日本家屋において、一番大切に扱うのは“お客様”でした。そこで陽当たり、通風、眺望などが一番いい場所には、客間を配置。そして北側のいわゆる陰な空間に、水廻りや住人の部屋があります。今回の古民家の間取りもまた、そのような間取りでした。日本人ならではの、おもてなしの気持ちの表れですが、新しい暮らしでは、住まう方の快適性を一番に考えた空間デザインを計画していきます。
核家族化の進んだ現代の暮らしでは、あらたまったお客様も少なくなりました。既存の間取りのままだと、普段住んでいるご家族が使う空間は、暗くて寒い場所に集められ、部屋の移動も寒かったりと、デメリットの多い住まいになってしまいます。
現代のライフスタイルにあわせた古民家リノベーション〜「客間+広縁」→「リビング」に〜
今回のリノベーションでは、その一番居心地のいい場所:「客間スペース」にリビングを移動します。家の構造体を丸裸にして、現行の耐震基準に見合うように耐震補強、また、断熱材やサッシも新しくして、居住性がぐっと上がりました。
改修前の様子(和室の続き間)