① 新築住宅にするか既存の住宅をリノベーション/リフォームするか?
もちろん、建て替えることも可能です。しかし、打ち合わせを重ねる中で、お客様の希望する間取りや工事予算を考えると、新築をするメリットが少ないのではないかという考えに至りました。
解体費用や浄化槽の交換、敷地の整備などを考えると、法規的な問題や、金額の問題によって、住宅の床面積も現在より少なくなってしまいますし、敷地の特性や形状から間取りの自由度も制限されそうです。まずは現状の中古住宅をが、直して使える建物であるかを判断するために調査させてもらうことにしました。
簡単な図面は残っていますが、数回、行われた増築のため、かなり異なる部分があります。建物の状態を検証して、お客さんにはリノベーションしてもいいのではないかというお話をさせていただきました。
② 増築で失われた通風・採光を取り戻すプラン
住宅をリノベーションする方向性が決まりましたので、これからはどう改修していくのかのプランの作成です。敷地は、東側が高い台地が壁のように覆いかぶさり、西側は手付かずの「加治丘陵」の雑木林が迫っているという「谷」の地形です。敷地の北側にある入間川に向かって流れる谷ですので、隣地は北に向かって下がっています。敷地の南側隣地は1m程度地盤面が上がっていて、前の住宅が覆い被さっていますので、こちらからの採光もあまり望めません。
また、約50年前に建てられた家は、数回行われた増築によって、元々あった部屋の南側にダイニングキッチンがつくられ、ほかの部屋の採光、通風が遮られていました。
敷地の西側には、手つかずの雑木林と空地の風景が広がっていましたので、それを拠り所に借景として取り入れ、かつ家全体の採光、通風を確保するために、大きな開口部を西側に作るようなプランを検討しました。既存のダイニングキッチンの位置を移動して、家の中で一番、日当たりがよく、居心地がいい場所に、リビングが配置されるように間取りの再構築を行いました。