国産自然素材の家づくり、宇都宮の木造新築住宅

山の一軒家でクライミング!アウトドアな家族の自由な日々〜国産自然素材で建てる新築木造住宅〜(栃木県宇都宮市)

JR宇都宮駅から、東に向かって車で15分。高速道路と見間違えるような国道4号のバイパスを超えたあたりから、次第に田園が広がる風景になってきます。なだらかな平地ですが、鬼怒川の先に、小高い丘陵が現れました。雑木林が多く自然に囲まれた環境ですが、ここもまだ宇都宮市の一部。

今回のお客さまは、小さなお子さまが2人いる4人家族です。自然に囲まれた家族との暮らしを実現するために、この丘陵地帯の小さな山をひとつ購入されました。仕事も遊びも、家の作業も全力で楽しむご家族のライフスタイルを反映させた、自由でアクティブな家づくりの始まりです。夏山、冬山、ロッククライミングに沢登り、キャンプはもちろん、オフロードバイク、薪ストーブ、山林作業まで。とにかく山とアウトドアが大好きな家族が描く、これからの暮らし。打ち合わせを重ねながら、ワクワクするようなアイディアが生まれていきました。

家族4人の遊び道具は、自然に囲まれた森とのびやかな家〜設計事務所と一緒につくる子育て世代の家〜

子育て真っ最中、共働きと、お忙しい日々を送るご家族ですが、みんなで過ごす時間をとても大切にしています。そして大人と子どもが一緒に遊びながら、手間をかけて有機的に暮らしたい。そんなご家族のために考えたのは、家族みんなが、家の内と外で、めいいっぱい楽しめるのびやかな住まいです。アクセントの赤・青のタイルが目を引く外観は、見るからに楽しそう。ご夫婦のリクエストのひとつに「家の壁を登りたい!」というものがありました。そういう自由な発想が、家づくりの可能性をぐんと広げてくれるのものです。もちろん夢を叶えるために、建物の西側の外壁には、地上約6mのルーフバルコニーまで続くクライミングウォールを作りました。

お父さんの手を借りながらハーネスを装着し、壁に向かうのは、5歳のお兄ちゃん。上のルールバルコニーからは、お母さんがそれを見守っている。声援を受けながら、雄季くんは角度のついたハングのすぐ下まで登り切りました。ともに独身時代から登山が趣味だったというご夫妻だけあって、さすがに手慣れた様子。我が家の壁をのぼって育つ子どもたち。なんて自由で、のびやかで、かけがえのない風景でしょうか。

家族みんなで、手間を愉しむ暮らし〜木造新築の外壁にクライミングウォールを設置〜

クライミングウォールは下地となる亜鉛メッキの鉄骨だけ工事で施工して、厚板とホールドはご主人が取り付けました。「できる範囲のことは自分でやりたい」の言葉通り、休日は家族で楽しみながら、草刈りや薪割りなどの「暮らしをめぐる労働」にいそしみます。「スイッチひとつで暖まる暖房よりも薪ストーブ、というように、手間のかかるほうが好きなんです。」とご主人。効率性とメンテナンスフリーが求められる時代ですが、手間暇かけることの豊かさを体感していくご家族。緑のなかに佇む建物も、どこか幸せそうです。

転勤で宇都宮市に来て以来、社宅暮らしをしていたKさん。自然に囲まれた場所に子どもがのびのび遊べる家をつくりたいと、2年かけて北側に広い針葉樹林をもつこの土地を見つけました。家の設計を「独楽蔵KOMAGURA」に依頼してくださったのは住宅雑誌『チルチンびと』に掲載されていた独楽蔵設計の住宅で、子どもたちが生き生きと遊ぶ様子を見たことがきっかけだそうです。

建物のメンテナンスを考えて、クライミングウォールの板は外壁から分離

外壁にクライミングウォールがあるといっても、建物と一体だと劣化や経年変化の際に困るので、クライミングウォールの板は、取り替えができるように外壁分離して取付してあります。板が外壁から浮いた状態なのでホールド(赤や緑、青などの手で掴む部分)の取り外しも容易です。クライミングの難度を上げるための跳ね出しですが、板材に直接、雨が当たらないように、劣化軽減のひさしの役割も兼ねています。

遊びも家仕事も全力で楽しむためのさまざまな仕掛け〜大きなウッドデッキが家族のアウトドアリビングに〜

遊びも家仕事も全力で楽しむご家族の生活スタイルを読み解き、ご提案したのは、家そのものが『道具』になり、有機的な暮らしを送ることのできる住まいでした。

登山道具を並べてメンテナンスをしたり、洗ったテントを干したり。室内外の中間領域として、使い方を考えるだけでワクワクする場所です。

玄関土間内部、リビングから「山の道具庫」には、4つの丸太が渡り廊下の代わりになっています。

玄関土間の脇に、アウトドアや登山道具を収納するための「山の道具庫」〜玄関まわりにに収納の動線をつくる〜

リビングから土間の丸太を渡っていくと、山登りの道具を整理、保管する道具庫。登山で使用する道具は、夏山、冬山登山、沢登り、クライミングなど山登りの種類によって分類するそうです。広めの土間軒下のテラスは、事前の準備や下山後の片付けの際に、活躍します。家の中に汚れを持ち込む心配もありません。

季節によって、大きく暮らしたり、小さく暮らしたりを可能にする木製引戸

玄関から続くのは、薪ストーブのある広い土間。「作業で汚れた格好でも気にせず入れるし、靴のまま腰をかけてお茶を飲めるのがいい」とご夫婦もお気に入りです。昔の農家の軒下や土間は労働のためでしたが、この家では暮らしを楽しむための場所になっています。

さらに、土間、家族の場(リビング)、和室は、引き戸をすべて開け放つことで、ゆるやかなワンルームになります。過ごしやすい季節には、風が吹き抜ける気持ちの良い空間で大きく暮らし、冬は土間とリビングの間のガラス引き戸を閉め切って、暖かく小さく暮らすことも可能です。そういった可変性のある空間デザインが、快適な日常に繋がっていきます。

主暖房であり、実用としての薪ストーブ。薪の収集から薪割りまで、すべてが楽しい労働だと笑うご夫婦。焚き付けもスムーズに、暖かな日々が育まれます。

子どもがのびやかに育つ家づくり〜日光杉に野州麻紙。地元栃木の自然素材を使った有機的な空間〜

子どもたちが縦横無尽に走り回ったり、柱に登ったり、床で寝転んだり。その様子を安心して見ていられるのは、この家が確かな材料で作られているから。日光杉や野州麻紙など、地元の自然素材もふんだんに使用しています。素材の質感やぬくもりは、子どもたちの記憶にしっかりと刻まれていく。きっと、ほんものを見極めるチカラとして育まれていくのでしょう。