さいたま市のJR武蔵野線、東浦和駅から徒歩数分、閑静な住宅街の一角にある国分邸。敷地の東側には、首都圏では一番広い緑地保全地区「見沼たんぼ」が広がっています。すぐ目の前の見沼代用水沿いの遊歩道は桜並木で、有名な花見のスポットです。数年前から地元で土地探しをしていたご夫妻は、この立地条件を見た瞬間から「ここで友だちを呼んで花見をしながらバーベキューをしたり、酒をたのしんだりしたら楽しいに違いない」と即、購入を決断。
設計は以前から知り合いであった設計事務所 独楽蔵(こまぐら)に依頼することにしました。ご主人は以前から、実際に設計した家を見ていて、風や草花を積極的に取り入れたアウトドアっぽい感覚がいいなぁと思っていたそうです。
景観を最大限に生かす
平面計画は、やはりこの景観の特徴を最大限に生かすことに。敷地の東側以外は周囲に隣家が迫っています。プライバシーを確保するため、また通風・採光を図るために、LDKは2階に上げ、個室群はすべて1階にしました。建具を開け放つと、2階は、ほぼワンルーム。限られた敷地条件の中でも広々と生活するための工夫です。東側の「見沼田んぼ」、「桜並木」に面したデッキバルコニーは、リビングと連続性のある空間に仕上げてあります。
外壁の耐久性をあげる工夫
バルコニー部分の外壁、杉板南京下見張りの部分は、上部の笠木を大きめにして、なるべく雨が杉板にかからないような収まりにしています。これだけで、板の耐久性がずいぶん違います。
天井の高く開放的な2階リビング
この住宅の場合、2階リビングの利点は「見沼田んぼ」の借景の恩恵を受けるために、視点が高く見晴らしがいいことが大きいです。また、2階リビングにすることで、屋根のカタチに合わせて天井を高く、開放的な空間をつくることができます。存在感のある小屋梁をあらわしにして、力図よい空間を演出できるのも大きな利点の一つです。
リビング:杉板目透かし張りの壁
2階リビングは一体空間。リビングにいる人との視線の高さをあわせるために、250mm段差をつけて「上がり座敷」とした和室も、間仕切りを開放するとLDKとひとつながり。
2階円形デッキの目の前に広がる緑と桜並木を満喫
バルコニーの手すりは高さを変えて、隣地からの視線を防ぎながら、「見沼田んぼ」の眺望を満喫できるように工夫をしています。椅子やテーブルを並べられるスペースも確保。
造り付けの囲炉裏テーブル
米松の大径木で木目に詰んだ材質の木材をピーラーの厚板を使った円形のダイニングテーブルは、中央を円形にくり抜いて囲炉裏をつくっています。使用しない時は蓋を閉めて通常のテーブルとして利用できます。