【四世代の家族をつなぐ火の食卓】太宰府の家(2014)

【四世代の家族をつなぐ火の食卓】太宰府の家(2014)

祖父母と両親に、娘夫婦と孫二人

家族の歴史を刻む土地に住むことを大切に、そして、豊穣な海山の幸を楽しむ大家族の暮らし

施主の松尾さん夫妻、そして、ご主人のご両親、娘さん夫婦に孫二人。
この家に暮らしているのは、四世代合計8人の大家族。
それぞれの世帯がクラス居室には、囲炉裏が置かれたウッドデッキ、
そして、薪ストーブのある土間によって繋がっている。

「こんなふうににぎやかになるとは思っていなかったんですが・・・」と笑うご主人。

経緯はこうだ。

もともとこの家は、東京で働いていたご夫婦が
故郷の両親と隣居するために、1999年に建てたモノ。

そして、昨年、古くなった両親の家を建て替える形で、増改築を行った。
元の家を中心にして、左右に羽を広げたように、
新しく両親の居室、キッチン、仏間がつくられて今の形に。

元々の家と今回の増改築の設計を手がけたのは
埼玉県に事務所を構える設計集団「独楽蔵:こまぐら」である。

松尾さん夫妻は、独楽蔵が設計した埼玉県浦和のギャラリー&日本茶喫茶「楽風:らふ」の常連で
そのおおらかな作風に惹かれていたそうだ。

みんなが集まる場所には、囲炉裏と暖かく燃えるストーブの火

今回の改築の際、独楽蔵の提案で導入したのが、薪ストーブのある土間。

「私が地域の会合などを手伝っているので、よく家に人が集まるのですが、
以前は、リビングに通していましてね。
広い土間で応接することで、プライベートと分けられるようになりました。」とご主人。
近所の人にも薪ストーブは人気で、年末には忘年会をここでと頼まれたそうだ。

さらに薪ストーブは東京で暮らしていた娘さん夫婦も呼び寄せる。
「以前から子どもたちのためにも、おじいちゃん、
おばあちゃんの近くで子育てしたいと思っていたんです」と若夫婦のご主人。
「当初は別に家を借りて住もうかと思っていたんですが、薪ストーブが入るって聞いて、
住まわせてもらおうかなって」と娘さんも続ける。

「松尾産の薪ストーブや囲炉裏は、
ちゃんと『背景』のある人生を送っていますね」と独楽蔵はいう。
今のように薪ストーブが人気になる前から、
独楽蔵では竈や囲炉裏など火のなくなった現代の住宅に「火場」を積極的に取り入れてきた。

食事にしてもお風呂にしても、火を使うためには、薪を集め、割り、
火を熾すという「背景」が要る。

「火場は、この生活から消えてしまったこの背景、言い換えれば『生活の活力』を新しい形で生み出す場所です」
そして、住み手の松尾さんは、それを「生活を楽しむ場所をつくってくれた」と表現する。

暮らしの知恵や文化をさりげなく伝える

「私たちの世代だと、子どもの頃はまだ、薪や火は身近なモノでした。
でも、当時は薪なんで労力の象徴だった気もするんですよ。」と松尾さん。
「でも、ストーブを入れたら、父が『昔はこうだった』ってとても喜んでね。
そして、孫も『これ薪にしよう』と木の枝とか拾ってくるんですね。
薪ストーブがあることで、さまざまさなことを伝えられるような気がします」

火のまわりで交わされる会話は、父母から子へ
祖父母から、ひ孫へと世代を超えて
暮らしの知恵や文化をさりげなく伝えている。

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