埼玉県入間市のオフィスリノベーションは建築設計事務所/独楽蔵へ

ロードサイドに有機的な風景を〜埼玉県入間の国道16号線沿いテナントをオフィスにリノベーション〜

国道16号線は、神奈川県横浜市を起終点とし、首都圏を環状に結ぶ一般国道です。首都圏の郊外・ベッドタウンを結んで膨大な沿道人口を抱え、道の両側には、馴染みのある店舗や倉庫、オフィスなどが建ち並んでいます。今回のプロジェクトは、そんな国道16号線の道沿いの敷地で、東京都瑞穂町と埼玉県入間市の県境に位置します。元々、テナントとしてコンビニやすき家などが入居していた建物を、オフィススペースへとリノベーション。ひろい敷地の中に無機質に置かれた鉄骨平家と駐車スペースは、国道沿いで見かける、どこにでもある風景ですが、このリノベーションを通して、無機質なロードサイドで、有機的な景色を育んでいくことをめざしました。

目 次(クリックすると開きます)

無個性、無機質なロードサイドに有機的なオフィスを

国道16号沿い、鉄骨平家の建物をオフィスにリノベーションする計画。お客さまは「総合物流サービス 株式会社 イノセント」です。会社の事務所と打ち合わせスペース、数十人のトライバーのための休憩およびロッカー室を完備したオフィスをつくっていきます。無個性、無機質なロードサイドに、有機的なオフィスを生み出す。ひとつの建物が、どこにでもある風景の印象をどこまで変えていけるか、というミッションともいえます。

建物改造前の様子

建物の骨格は現場を維持しつつ、躯体(くたい)を最大限に再利用しながら、必要なスペースを作っていきます。建物の外部には植栽のスペースを設け、室内は、ドライバーの方々を含めた社員の方々が環境の整った空間で仕事ができるように、スペースや設備を充実させる計画です。

空間的な福利厚生を充実させて、社員の定着や、リクルートに繋げていく

社員のための充実した福利厚生スペースを設け、より気持ち良く働きやす環境を作ることで、社員の定着や、新規の募集といったリクルートに繋げていくこともめざしています。

コンクリート/アスファルト土間を壊して、有機的な植樹スペースをつくる

外部のコンクリートとアスファルトを一部、解体して植樹スペースを設けました。周りは人工芝で日々の管理も手間がかからないように。植物にとっては、アスファルトの照り返しや直射日光で過酷な環境なので、少し小さめの中木から数年をかけて育てていく予定です。無機質なロードサイドに、みずみずしい緑の風景がひろがっていくことが楽しみでもあります。

国道に近いミーティングルームの前は、暑さや日差しに強いシマトネリコの株立を中心に、フッキソウ、千日紅、イワナンテン、アジュガ、ユーパトリウム セレスチナム、ジャノヒゲ(班入り)などの下草です。シマトネリコは常緑樹ですので、冬も緑の風景を作ってくれます。

もう一つの植樹スペースは、イロドリの株立をシンボルツリーに、フッキソウやリガストラム(レモン&ライム)などを選びました。イロドリは、ヤマボウシに近縁種のハナミズキを交配したハイブリット種です。病気に強く、耐寒性に優れる品種で、斑入り葉が特徴的です。ロードサイドという過酷な環境にも負けない、生命力のある木々が、新たな風景を育んでいきます。

有機的なアプローチ

地域のオアシスになるようにオフィスをデザイン

全国の国道のロードサイドによく見られる無機質、無個性な風景を、有機的な空間にシフトしていく。スタッフの皆さんはもちろんのこと、行き交う人々にとっても心地良い、まさに地域全体のオアシスになるようイメージしました。

大きな作りつけミーティングテーブルのある会議室です。大きな窓からは、間近に植栽を感じることができます。国道に一番に近い部屋で、反対に道路からもよく見えます。夜はライトアップして、会社のイメージを上げることも可能です。建物自体が、広告的な役割を担っていきます。

リノベーション前の建物

ミーティングルームの木部ディテール

事務スペース