庄野潤三さんとその家族
何も大きな事件は起こりませんし、登場人物も場所も変化しません。
三冊の本とも作者の庄野潤三さんとその家族をモデルにした、丘の上の新しい家に住む家族の話。
何も大きな事件は起こりませんし、登場人物も場所も変化しません。
主人公は家族とその廻りのひとたち・・・。あるのは、平凡な家族の日常や会話だけです。
「庭にどんな樹を植えようか?」考えたり、ムカデに刺された話や毛虫の話。夏休みの宿題や運動会など学校や行事の話。
「どんな梨がおいしいのか?」考えたり、お姉ちゃんの結婚の話など・・・
何も特別なことは起こりませんが、どの話も、その土台となるのは、家や雑木林、学校、道などの日常の暮らしの場所やその季節で、それがいかに大切で愛しいモノなのかがよくわかります。
この本は、家族の暮らしがすべて。
そして、それさえあれば、人生それだけでいいではないかと思えてきます。
お父さん、お母さん、お姉ちゃん、兄、弟の5人家族。お父さんが家でお仕事をしていることもあってか、みんなそれぞれよくしゃべりますし、お互いが相手の話をよく聴いています。
とりとめのない家族の会話から生まれる幸せの普遍性。
住宅を設計する上で「こういう家族に寄り添う家」いや違いますね・・・。
暮らしていると自然に、「この家族のような会話や関係性」が生まれるような家、家族の器としての家を、作っていけたらいいなぁ〜と思います。

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