数年前に夏葉社の庄野潤三小説選集「親子の時間」に出会ってから、庄野潤三さんの文章や、モデルになっているご自身と彼のご家族のことが大好きになってしまって、そのほかの小説も数冊読みました。「山の上の家」の本の帯には「作家案内」と書いてあります。いろいろな小説の舞台となって登場する自邸や備品、家族などの写真があったり、エッセイ、スケッチ、家族の文章なども書かれています。内容は確かに、帯に書いてある通り、庄野さんとその周辺について描いてある、庄野潤三という作家を紹介する本です。
庄野潤三の小説からホントの「家づくり」について考える。
庄野さんの文章も、もちろんいいのですが、本自体が、庄野さんへの愛情であふれています。そして、庄野さんの文章に対する愛情や情熱も・・・。庄野さんの家も魅力的です。写真からご家族の丁寧な暮らしが細やかな部分まではっきりと見えてきます。
いい文章といい建築は似ている気がします。
本の中のエッセイ「私の文章作法」で、いい文章について、こう語られています。「ちっとも大げさなことは言わないで、やさしい、平明な言葉づかいで、書いていることがそのまま、こちらの胸へひとつひとつ、しっかりと入って来る。よけいなことは、ちっとも云わない。肝心なことだけ云っている。そうして、何を云い、何を云わないでおくかということを、はじめからちゃんとつかんである。書くことをよく呑み込んでいる。」
わたしも、こんな文章が書けるようになるといいなぁ〜と思います。そして、わたしの場合は、「文章」が「建築の設計」に置き換わっても当てはまると思うのです。
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