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【『風土』からみる、日本瓦やNHK連続テレビ小説『スカーレット』の信楽焼の焼成温度について】建築家の目線

今週のNHK朝の連続テレビ小説『スカーレット』は、主人公が半年がかりで完成した穴窯を使って、初めての火入れですが、窯の温度が目標の1200°に到達せずに失敗に終わってしまいます。

焼き物の陶器と磁器の違い

焼き物は大きく分けて、陶器と磁器にわかれいて、その大きな違いは材料の違いです。陶器(土物)は、主に自然界に取れる粘土(地面を掘った時に出る粘土層)を原料とし、磁器(石物)は陶石と呼ばれる石の粉(ガラスの材料で使われる長石、けい石を多く含有)を粘土を混ぜてつくっています。

焼き物の焼成温度の違い

もうひとつの違いは、焼き物の焼成温度です。陶器の焼成温度は、1100~1200°(唐津や益子、相馬など)。磁器の焼成温度は、陶器よりも高い1300°前後(有田、九谷、清水など)。細かく分類すると、信楽焼の焼成温度は、その中間の1200~1300°で焼かれています。炻器(せっき)や『半磁器』などと言われ、陶器と磁器の中間的な性質を持っているそうです。(備前焼や常滑焼なども同類)

日本三大瓦も焼成温度が違う

ちなみに同じ焼き物の「瓦」ですが、日本三大瓦の焼成温度も異なります。一般的に、淡路瓦(1000~1050°)、三州瓦(1100~1150°)、石州瓦(1200~1300°)くらい。

それぞれ、地域の気候や風土にあった材料特性を持っています。その中でも、焼成温度の高い石州瓦は、凍(い)てに強く、水を通さず、割れにくいといわれています。日本海側の厳しい風土に適した材料だとも言えます。また、中国山地から大量の木材(薪)を確保できたのも、大きいのではないでしょうか。ちなみに、製造の際に、同じく薪を大量に使用する『塩づくり』が中国山地の反対側の瀬戸内海でさかんに行われていた理由のひとつにも、やはり薪の確保の問題があります。写真は、その石州瓦を屋根や外壁にふんだんに使用した島根県芸術文化センター「グラントワ」と岩見地方の海辺の集落。

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