NHK連続テレビ小説『スカーレット』の川原家 土間空間を設計者目線で観察。

NHK連続テレビ小説『スカーレット』の川原家 土間空間を設計者目線で観察。

戦後から昭和40年代の土間空間の変遷

ドラマの中で、戦後から、信楽の古い古民家(納屋?)に暮らし続けている川原家。時代の変化と共に日常の暮らしぶりも変わっています。その変化に対応するように、建物自体も、使い方や備品なども細かく変えてあります。セットの設定や動線計画などのディテールが細かくて、とっても興味深いです。

玄関土間に置かれたダイニングテーブル

昭和40年代に入って、土間にあった竈(かまど)は、すでに役目を終えたようです。竈の上にベニアを敷いて電気炊飯器が置かれています。冷蔵庫も入り口の引き戸の脇にうまく配置されています。大きな違いは、大きなダイニングテーブルが置かれて、椅子の暮らしが生活に入ってきたこと。とはいっても、椅子は2脚しかありませんから、メインの食事はまだ座敷の座卓のようです。このテーブルは、昼間、家人が少ないときに簡単に食事をしたり、ちょっとした来客があった際にお茶を出すのに使われているのではないかと想像します。

しかし、一番の活用の仕方は、キッチンの配膳、作業台としての役割です。キッチンは、以前からの流し部分とガスコンロしかスペースがありませんので、包丁仕事は、基本シンクの上にまな板を出しての作業になります。やはり、ちょっと手狭なので、このダイニングテーブルは大いに役立つのではと想像します。

まだ、玄関という独立したスペースの余地はありません。

土間の部分だけ、まだ『梁』が表しで見えていますので、たぶん天井はありません。茶の間や和室は、たぶん梁の下に天井を張ってあるのではないでしょうか・・・。壁は依然として土壁のまま。

川原家の台所空間

一番の違いは、土間に敷いたスノコの導線

昭和20~30年代との違いは、玄関土間の台所部分と座敷をつなぐ通路部分にスノコを敷いて、履き物不要の導線をつくったことです。家族のみんなが靴下のまま行き来をしています。東向きの台所の前には、大きな窓があって、明るく風通しのよい台所です。一般的には、東側には馬小屋や納屋などが、母屋にくっついていて、土間が真っ暗で、風通しの悪い環境になっている場合も多いので、とても使い勝手のいい台所であるともいえます。

また、古い民家の框の段差を解消するために、スノコの巾に合わせた付け框を置いてあるのは、かなり使い勝手をよくしています。導線もスムーズです。

そして、おもしろいのはご主人の『八郎』さんが、台所空間によく入って、お手伝いをしていること。彼のキャラクターもありますが、その時代の男性を考えるとかなり現代的な間隔です。

川原家茶の間

通常、『家族5人+弟子1人』合計6人が、同時に食事が出来るように、1350mm×750mmの座卓に、正方形のちゃぶ台をくっつけた大テーブルを活用しているのは、とても日常的な風景に思えます。

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