大分県 長湯温泉 丘の上の家&長湯鍼灸院
都会から、大分に戻ったのだから、もっと自然に囲まれた大分らしいところで暮らそう!
数年前、首都圏から、奥さんの実家のある大分市に移住したNさん一家。移住後は大分市内で暮らしていたご家族ですが、数年間に渡って大分で自分たち家族が暮らす場所を探していました。「都会から、せっかく、大分に戻ったのだから、もっと自然に囲まれた大分らしいところで暮らそう」とご夫婦で相談されたそうで、竹田市直入の芹川沿いに、家を建てることのできる小さな里山を見つけました。
竹田市直入は、大分市内から阿蘇方面に向かって、車で約50分。「日本有数の炭酸泉」で知られる『長湯温泉』がある地域です。家を建てることのできる敷地といっても、山なので、家が建つだけの平地はありません。平地も自分たちで考えてつくらなけばなりません。もちろん、電気も水道も下水もありませんので、計画の最初は山に登る導入路づくりから始まりました。
山を削った丘の上の立地ですので、南は竹田市山間部の田園風景、北側は、近景に芹川沿いの『長湯温泉』の風景。遠景には、九重連山を眺めることのできる絶好の景観ですが、なにぶん山の上ですので、強風や雨の影響などを考慮しながら、計画を進めていきました。
長湯温泉の里山の上に建つ鍼灸院を併設した住宅です。
家族のゾーンと鍼灸院のゾーン
この家の大きな特徴は、現在、ご主人が大分市内のクリニックで、東洋医学と鍼灸の仕事をされていることで、将来的には家でも仕事が出来るように、家族のスペースとは別に鍼灸院のスペースを確保する必要があったことです。スペース確保といっても、お仕事のスペースと家族の生活が混ざってしまわないように入り口も含めて分離する必要がありました。
鍼灸院の入り口、家族の入り口とも、建物北側からのアプローチですが、導線や家族のゾーンのプライバシーなどを考慮して、鍼灸院ゾーンは敷地導入路のある西側に、家族ゾーンは敷地のさらに奥の東側に配置しました。

北側県道から敷地を仰ぐ
芹川沿いに走る県道からの眺め。丘の上に建物の北側がよく見えます。

北側外観
周辺からよく見える北側のエレベーションを意識してデザインしていきました。外壁の黒い部分は、メンテナンスや厳しい自然条件からの防備を意識して、屋根材で用いるスレート材(カラーベスト)を使用。

(左)住宅の玄関ポーチ&(右)鍼灸院のエントランスポーチ


リビングの大開口は真南を向くように・・・。三角に突き出たリビング部分は、大きく屋根の軒を出して、外壁も杉の板張り(南京下見板)で、有機的に仕上げました。薪ストーブの煙突がポイントです。

南側外観(家族スペース部分)
南側は、冬の寒い風が吹き抜けないように、外壁で囲まれた部分を意識してゾーニング。黒い屏風のように風の巻き込みを防ぐ外壁。


左:住宅玄関 右:鍼灸院エントランス
入り口もポーチ部分も、家族の入り口と鍼灸院の患者の入り口を分離。

住宅の玄関
アルファベットで『NARITA』をデザイン。

リビング
リビングの突端に薪ストーブを配置

台所、ダイニングスペース、薪ストーブとの関係性





タタミスペースの窓
北側の窓からは、九重連峰が・・・

竣工後 約2ヶ月経過(Nさん撮影)





敷地の北側を流れる芹川沿い(『長湯温泉』)の田園の風景


家への導入路の草刈りをする奥さん