幼保連携型 フレンド認定 こども園
「幼稚園」の形態から「幼保連携型のこども園」への移行
都内からトレッキングやハイキング、観光など方々が多く乗降する西武秩父線 高麗駅。駅は、昭和50年代以降、山の尾根を削って開発されたニュータウン『こま武藏台団地』の最寄り駅でもあります。駅を出て、緩やかな坂道を登っていくこと約7分。『フレンド幼稚園』は、この『こま武蔵台』の開発とともに歴史を歩んできました。園に通う園児の父兄の中には、ご自分もこの『フレンド幼稚園』を卒園された方や長年、幼稚園教諭として関わりのある先生方も多く、地域に愛された幼稚園でした。
約40年の歴史の経過によって、建物や設備の老朽化や、保育・教育行政の変化から、数年前に「幼稚園」の形態から「幼保連携型のこども園」への移行する方針となりました。建て替えにあたっては、手狭な現在の敷地から移転することも検討されましたが、立地や卒園した方々の記憶などの歴史の残るこの地で新しく立て替えをすることに。
新しいこども園は、園児の収容人数に対する「保育室」の数、「園庭」の広さを確保するためには、建物を2階建てにする必要がありました。木造の園舎が理想でしたが、2階建てになると、安全性の問題から建物を「耐火建築物」にする必要が発生し、重量鉄骨造の建物になっています。

こども園全景
敷地は3方向道路に面している立地ですが、そのうち2つの道路は、高低差があり敷地内に進入することができません。新しいこども園へのアプローチも従来通り、西側の道路からのアプローチとなりました。
遊戯室は子どもたち、保護者、関係者プラス、地域の人たちと共有
遊戯室は、子どもたちが元気に走り回ったり、バレエ教室が行われたり、いろいろな行事が行われたりと、この「こども園」の中でも、一番、活動的で活性化した空間といえるかもしれません。また、ここでは園児以外でも、保護者の方々、主に、お母さんたちが主体のサークルやバザー、講演などの活動の場でもあります。
そして、この活動的な空間は、こども園だけではなく、段々、高齢化して活力の少なくなった『こま武蔵台ニュータウン』の元気の源の一つであるともいえます。計画の際は、この空間を、園児や関係者や地域全体で共有できるように考えました。道路から、内部の気配が感じとれ、かつ、すぐにアプローチ出来るように、エントランスのピロティ脇に遊戯室を配置。また、その遊戯室をピロティを一体的に使用することも可能なように開口部も設けました。

遊戯室背面の絵本コーナー
遊戯室の後ろ側は、本棚と小さな円形テーブルを配置した絵本コーナー。床はひな壇状に段を付け、地元「西川材」の杉無垢材で仕上げました。園児が触れる部分は、なるべく自然素材で・・・。
半円形の窓は、遠くから見るとステンドグラスに見えますが、昔の保護者のお母さんが油性のペンで描いた絵なんです。以前の幼稚園時代から、やはり遊戯室の正面で使っていたモノで、父兄の強いご要望もあり、移設して残しました。

旧園舎解体時のステンドグラス(絵ですが・・・)
半円形のサッシを取り外して、新しい遊戯室に移設しました

絵本コーナーの背面の大きなFIXガラスは、道路に面していて、道路からは内部の様子が間接的に見えます

エントランス・アプローチ
大きく計画した建物のピロティー(上部に建物が載った外部空間)を利用して、バスの寄りつき、園児の受入、集団で外出する際の溜まりのスペースなど、悪天候の日も余裕のある空間にしてあります。また、多くの人が出入りする軒下部分には、園の掲示板と木製のポストを配置してあります。

門扉・タイル衝立の裏側は・・・
物陰になっていて、カラーコーンや傘立てなど、この場所に必要なものを置いていく場所になっています。

ピロティーは、門扉を閉めて子どもたちの待機場に

遊戯室と広いピロティは、一体化して使用できるような配置に

遊戯室やこども園のアプローチの様子は、ピロティーの反対側に配置した職員室から、つぶさに眺めることが可能です

敷地南東側
擁壁や大きな桜、遊具などは、幼稚園だった頃と同じ状態で、当時の記憶を残している

モザイクタイルで「FRIEND」飾り張り
坂から降りてきた四つ角の一番目立つ場所に、モザイクタイルでデザインしました。




園庭




遊戯室 後方の絵本スペース
子どもたの目線の近い部分、触る部分は、なるべく国産の天然素材に・・・。

遊戯室 後方の絵本スペース
腰壁部分も、杉の無垢板の飾り張り。

建物の最高高さが8mというかなり厳しい地区計画があるなかで、最大限の広さを確保するために、間取りを工夫して天井の一部をあげる

遊戯室 舞台側
少し床があがったステージ部分は、杉の無垢フローリング張りになっています。


【バレエ教室用の鏡(移動式)】
以前からバレエ教室の練習が行われてた遊戯室。新しくなったら是非、大きな鏡がほしいとのことで、いろいろと検討しました。窓があったり、入り口があったりと、大きな壁面がないですし、普段はこどもたちが活発に遊んでいるので危険性もありますので、スライド式で仕舞えて、使うときだけ出すように考えました。
鏡が重いので、幅900mmの建具2枚に分割しましたが、自由に動かせますし、分割して使うことも可能なのでいいのではないかと・・・。

1階教室(年長クラス)

1階教室(年中クラス)木造別棟

1階教室(年中クラス)木造別棟

2階教室(年少クラス)

1階教室(年長クラス)

2階外廊下

2階外廊下


【close(閉まっている)の時こそライトアップ】
施設や店舗を設計する時には、その建物が閉まっている時や、夜間にどう見えるかも、よく考えます。近所の方々や通りを行く人たちなど、施設が動いている時以上に、建物はよく見られているものです。夜になって廻りが暗くなるので、逆にうまく照明を使うと上品に目立たせることもできます。
夜の雰囲気がどうなのか?ちょっと気になったので、息子たちと散歩をしながら見に行ってきました。
一応、息子たちもこの幼稚園の卒園児なので、興味津々で、中がどんな風に新しくなったか、とても気になる様子です。エントランス部分のダウンライトは、タイマー式になっているので、一定時間、入り口を明るく照らしてくれます。今日は、日曜日なので誰もいませんが、遊戯室を使ってる時は、木製の飾り枠を四方に廻した正面の大きな窓と側面のステンドグラスで、中の様子や明かりがキレイに見えるばずです。
はやく園児たちが使っている様子を見てみたいです・・・。


フレンド認定こども園 アクセス
埼玉県日高市台589-9(西武秩父線 高麗駅から徒歩6分)
その後の暮らし:フレンドこども園(日高市) 2020年夏(竣工から2年半経過)
その後の暮らし:フレンドこども園 その後(引き渡し3日後)はこちら
【日高市 フレンド 認定こども園 新築工事 工事現場だより】
園児や保護者の皆さん、先生方に現場の様子や工事の流れをご説明するためにつくった冊子です。
part1 2017/08〜2017/11まではこちら
part2 2017/11〜2018/01まではこちら
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