リビングの開口部は、間口3600mm ガラス戸引き込み・全開放・真南向き
元々、千葉県成田市にお住まいだったIさんのご家族は、ご夫婦と男の子2人の4人。ご夫婦の共通のご趣味はサーフィンで、休みの日は、家族全員で外房に出かけることが多かったそうです。これからの子育てを考えて、豊かな自然環境とサーフィンができる海に近い立地を求めて、九十九里の匝瑳市に敷地を購入されました。
サーフィンとのびのび子育て 木造新築の平屋(千葉県匝瑳市)
リビングの開口部は、間口3600mm ガラス戸引き込み・全開放・真南向き
元々、千葉県成田市にお住まいだったIさんのご家族は、ご夫婦と男の子2人の4人。ご夫婦の共通のご趣味はサーフィンで、休みの日は、家族全員で外房に出かけることが多かったそうです。これからの子育てを考えて、豊かな自然環境とサーフィンができる海に近い立地を求めて、九十九里の匝瑳市に敷地を購入されました。
子どもの育つ家をデザインするとき、まず考えるのは、南に向かって大きく開いた家にすることです。風も光も季節感も南の開口部を通して家の中に入ってきますし、何より、それらの自然を感じることが、子どもの感性には必要だと思います。
リビングの大開口からデッキテラスの繋がり。奥に見えるのは子ども部屋
家の中心は各ゾーンを繋いでいるデッキスペース。デッキテラスの真ん中にある玄関を挟んで、右が家族のスペース、左が子どもたちのスペースになっています。
この住宅は面積が100坪ある広い敷地に対して、家をどう配置するかという配置計画が重要になります。今回、採用したのが、四角い敷地に四角い平面の家を配置するのではなく、三角形の平面の家を配置する方法です。これによって、敷地の対角線に沿って大きな開口部を設けることが可能になります。
四角い平面形では、南側の開口部の長さは最大でも敷地の一辺の長さになります。三角形の平面では、壁の一辺を敷地の対角線の長さまでつくることができ、家の外と内のつながりをより強くすることが可能です。同時に室内から見る視線が、敷地のもうひとつの対角線方向を見ることになるので、庭の奥行きが深くなり、敷地の外の道路や隣地との距離を大きくすることができます。反対から見れば、家の中に直接はいってほしくない外部の視線などを、適度に遮断することになります。敷地を充分に楽しみながらOPENに暮らすためには、配置計画こそ重要になります。
リビングの床は、千葉県産材の杉無垢材。壁はシナ合板 目透かし張り。キッチンカウンターは、米松(ピーラー)の厚板を使用しました。
リビング側から玄関を挟んで、こども&納戸ゾーンを見る。施主支給のアンティークドアをリビングの出入り口に
玄関は木製建具のガラス引き戸。網戸も収納してありますので、夏は適度な通風も望めます。左の造り付けた金属梯子(紺)は、「バルコニー(物見台)」に上がる経路。数m上がっただけでも、吹く風の香りが変わります。「バルコニー(物見台)」からは、子ども部屋のロフトに入ることができます。子供部屋→ロフト→バルコニー→ハシゴの回遊性のあるこども空間・・・。
玄関に入ると、左右に分かれた2つの床。右は、家族のスペースで、左はこどものゾーンです。それぞれの行き来には、「飛び石」ならぬ「飛び丸太」で渡っていきます。そこには、ぴょんと飛び越えられて、靴履かなくても渡れる、ほんの数十センチの隙間があるだけ・・・。それでも、互いの空間には、見た目にも、心理的にも、不思議な距離感が生まれます。距離は近くても、「あっちとこっちの感覚」、「渡りの感覚」、「境界の感覚」、表現の仕方はいろいろありますが、床が離れていることに、やはり意味があるんです。
家族間の距離感について考えてみると、親の立場からは、いつでも、こどもの気配の感じられたりや見守りができる距離が安心ですし、こどもたちは、(年齢によって変化してくると思いますが)「ここは、こどもだけの世界」と感じられる空間を求めている気がします。この異なる2つの要素が重なる距離、それが、一番ちょうどいい距離ではないかと思うのです。
思い起こせば、私の学生時代、庭の片隅に建てたプレハブの離れを子供部屋にしていた友達は、みんなの憧れでしたし、やっぱり仲間の溜まり場になっていました。まぁ、それでは、ちょっと母屋とは離れすぎなのですが・・・、「飛び丸太」の子供部屋は、こどもの感覚的にはそういう距離が近いような気がします。
男子:2人兄弟の子供部屋杉の無垢材の床板には、裸足がよく似合います。小さいうちは、ヒョウタン型の部屋を一緒に使って、大きくなったら、それぞれ個室に・・・。ケンカになりそうですから、入口もそれぞれ2つ、もちろんロフトの梯子も2つです。壁は、シナ合板の目透かし張りで、それぞれのイニシャル『K』&『R』の飾り張り・・・。
こどもが小さい時期は、小さな2つの子ども部屋をくっつけて、一体使用。木製の造り付け梯子の上は、ふとんの敷ける広さのあるロフト。ロフトへの梯子と子ども部屋への出入り口は、もちろん2つ。寝ているときに落ちないように、低い手すりも設置してあります。
それぞれ兄弟専用のハシゴを登るとロフトがあります。ロフトといっても、大人でも充分に立てる高さ・・・。お兄ちゃんになった時のことも考えて、布団も、ちゃん2人分とひけるサイズにしています。手すりは作ったけど、寝ぼけて落ちないでね・・・。工作好きのお父さんとDIYが出来るように、壁は合板のまま・・・。気分のままに好きな色にペンキを塗るのもいいですね・・・。厚みが12.5mmありますので、釘やビスを何処にでも打ち放題です。どんどん自分色の秘密基地にしていってほしいです。一番、接触のある床は、やっぱり杉の無垢材です。
この家のイラスト計画案はこちら
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おまけ1:新築上棟時の施主のお子さんの絵日記
おまけ2:竣工後にお客さんから頂いたお手紙
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