飯能市の新築木造住宅、設計デザイン

アンティークと暮らすシンプルライフ〜4人家族・飯能市高麗川沿いの新築木造一戸建て〜

埼玉県の西部、飯能の市街地から秩父方面にクルマを走らせると美しい清流、高麗川が見えてきます。南側に緑深い山並みを、北側には川を借景にした、ローカルサイドな暮らしが叶う場所。今回は、美容院を営まれるご夫婦とお子さん2人の4人家族が暮らす、木造新築住宅の計画です。センスの良いご夫婦2人が自ら見つけてきた中古の柱、梁材、アンティーク建具や照明を上手に活用しながら、ペンキ仕上げの壁と杉板の無垢フローリングで仕上げたシンプルな居住空間を創りあげていきました。

お気に入りのアンティークに囲まれた暮らし〜古材・照明器具の上手な活かしかた〜

おふたりは、ご自分が経営される美容院の内装やインテリアを自ら手がけられたりと、好きなものをセレクトし、ひとつの空間を創るセンスをお持ちの方でした。新築計画への要望を整理していくと、以下のようなものでした。

①なるべく出っぱり引っ込みの少ない箱のような、シンプルなフォルム。
②回廊のような玄関を経て、リビングに入る間取りにしたい。
③今まで集めてきた、手持ちのアンティークドアや古建具、照明器具、家具などを使いたい。
④外壁、内壁とも、とにかくシンプルに。内装はペンキ仕上げが希望。
⑤薪ストーブを設置したい。

これらのご希望が叶うように、いろいろなお話をしながら計画を進めていきました。こだわりの素材を上手に組み合わせつつ、余分なものをそぎ落としていく。シンプルで美しいファクトリーのような空間をめざしました。

大黒柱と梁材は、お客さんのご希望で、あえて華奢でチープな雰囲気の古材を再利用しています。壁(下地:構造用合板)や梁は、塗装で白く仕上げてあります。リビングの大部分は、平屋なので、梁のあらわし(天井の梁を見せること)にして、屋根と同じ形状の天井に仕上げてあります。

新築に馴染むようなこだわりの古材使い〜厳選された大黒柱や梁を使用〜

今回はお客さまのご要望で、柱や梁に数本の古材を使用することになりました。施工会社さんの倉庫に眠っていた材料を確認してもらいながら、太くて立派な昔ながらのフォルムではなく、あえて華奢な材料を選びながら選定していきました。古材はプレカットができませんので、大工さんの手刻みで、加工してから上棟を行いました。主張しすぎず、でもこだわりに溢れた素材選びが、おふたりの思い描く暮らしをカタチにしていきます。

古材を使った上棟の様子はこちら
古材を使った軸組の様子はこちら
完成から3年経過したこの家の様子はこちら

薪ストーブのまわりも、鉄板とコンクリートでシンプルに

薪ストーブのスペースも極力シンプルに仕上げます。床部分は、あえてモルタル仕上げ。ストーブのバックガードも一枚の鉄板を折り曲げただけのデザインで、塗装も鉄の素材の色をそのまま生かしました。すっきりとした工房のような潔さが漂います。

薪ストーブはオーストリアの薪ストーブブランド:ネクター社の薪ストーブの中で最も炉の容量が大きい「マーク2ネクターCB」。シンプルなフォルムが印象的です。薪ストーブのまわりも、鉄板とコンクリートでシンプルに。暖かな炎が、一層引き立ちます。

清流を眺める暮らし〜高麗川に面したピクチャーウインドのあるダイニング〜

敷地の北側は、高麗川に面しています。ダイニングのスペースをこの位置に配置したのは、高麗川の景色を見ながら暮らすことができるからです。窓の脇の川岸には、大きなケヤキと山桜が自生していて、窓辺にやさしい木陰を落としてくれます。毎日の食事や、日々の会話に、川のせせらぎや緑、陽射しが加わる。かけがえのない時間になることをイメージしました。

階段下を活用して、ディスプレイスペースや収納スペースに。

見せる階段でシームレスな開放感を〜オープンな階段をリビングに取り込むデザイン〜

半オープンな階段は、リビングの一部に。インテリア全体に簡素でシンプルなテイストで仕上げていますので、階段も、杉板の段板と構造用合板で製作しました。仕上げはあえて、素地のままで。階段の手すりは、スチールの丸パイプに木製の笠木をつけたモノ。スチールも素地の色を生かしてあります。

正面の壁に空いた開口部の先は、半クローズドのキッチンスペースです。床は、幅広の杉の無垢材(無節)です。リビングとダイニングの部分は、あえて床材の張り方向を変えて、空間に変化を持たせています。

キッチンは、リビングと分離したCLOSEDのタイプですが、空間を閉じるドアはなく、さらにアンティークの木製ガラス戸で、緩やかに繋がりのある空間です。ステンレスとモザイクタイルのキッチンです。

奥の木製ドアもアンティークドア。このドアを開けると勝手口です

調和のあるインテリア&空間づくり〜古い建具と新しい建具の融合〜

今回、お客さまの希望にそってアンティークドアや古建具を利用しましたが、リビングの大開口部やドアの足りない部分は、新しく木製建具で制作しました。リビングの大開口は、断熱性や防犯性が必要ですので、ペアガラスを使用しています。デザインは、古い建具に合わせて、枠や格子の部分をあえて小さく、華奢な雰囲気にしたり、金物にも気を配りました。時を超えて、同じ空間に集う、さまざまな建具。古いものも新しいものも、ご夫婦のぶれないセンスに寄り添うことで、統一感のある空間を創ることできます。

玄関からリビングに繋がるドアと外部に面した欄間は、お客さんが家づくりのために少しずつ集めていたアンティーク建具です。ドアや窓の大きさに合わせて、枠を加工しました。そのアンティークドアのテイストにあうように、リビングに面した桟の細い華奢な格子窓を新しく製作しました。古いものと新しいものとが、歩み寄りながら、ちょうどいい着地点を見つけた時、気持ちの良い空間が生まれます。

アンティークドアや古建具をリペアして再利用した工事の様子は、こちら

素朴な箱のように〜フォルムや塗装にこだわった、工場的シンプルな外観〜

「家というより、シンプルな工場のようなカタチ」それが、お客さまの望む外観のイメージでした。当初、計画していた2階のバルコニーも中止にしたり、外観は凹凸のないように心がけました。屋根の形は、やはりシンプルな切妻です。

外壁も吹き付けは施工せずに、モルタルのままに。仕上がりも「なるべく、刷毛ムラのあるほうがいい」というリクエストでした。あえてやりすぎないという頃合いの難しさ、職人さんの技が光ります。

玄関&勝手口のポーチも片流れ屋根で、軒裏もあらわしのまま、どこまでも、どこまでも、シンプルに。

北側(高麗川)の外観。仕上げは杉板の南京下見張り、木材保護塗料:キシラデコールの「シルバーグレー」

床の材は、リビング全体の雰囲気を決める〜新築住宅の床は杉の無垢材〜

この木造新築住宅の床材は、節のない杉板の無垢材をセレクト。幅150mmの幅広の材料です。シンプルで飽きのこない杉の節なしは、今回の新居のシンプルな空間づくりに、ふさわしい材です。

十字の格子が入った木製の突き出し窓からは、里山の風景が見えます。

外壁の杉板:南京下見張りの様子は、こちら

住宅の間取り図(平面図)

計画時の1F.2F 平面図(間取り図)

吾野(飯能市)高麗川沿いの暮らし (竣工後3年)①はこちら
吾野(飯能市)高麗川沿いの暮らし アンティーク&ブロカント(竣工後3年)②
自分の好きなモノとだけ暮らす生活 竣工後6ヶ月

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