before 工事前の和室・広縁の様子
老後を気持ち良く過ごせる古民家リノベーション〜ポイントは間取り!1階だけでコンパクトな暮らしができるように〜
リノベーション前の家のなかで、一番居心地の良い場所は、南側の庭に面する客間と広縁(ひろえん)でした。伝統的な日本家屋では、日当たりや風通しが良く、快適な場所に、お客さまのための和室を置き、北側のいわゆる陰な場所には、住人の部屋や水廻りを配置するのが一般的でした。日本人ならではの“おもてなし”の思想からくるようですが、現代の暮らしにとって、もっとも大切なのは、住まう方の心地良さ。そのためにも、間取りを再構築することが、よりよいリノベーションのコツだと思います。今回は、かつて客間だったスペースを、ご夫婦のこれからの暮らしの中心となる、LDKとご夫婦の寝室に改造していきます。LDKと隣り合う寝室、水回りをまとめ、スムーズな動線を描けるように。これからのシニアライフを気持ち良く過ごすためにも、1階部分でコンパクトに生活できる空間に再生する計画です。
和室に造り付けられていた仏壇は、そのままの位置でリペア
大事なお仏壇だから、家の中心であるリビングに置く
新しいリビングには、和室に造りつけてあった仏壇をそのまま残しています。室内の北側に設置されたお仏壇は、きれいに化粧直しした後、同じ位置で使っていただけるように考えました。元々、立派な造りのお仏壇なので、きれいにリペアして、リビングに合う雰囲気で蘇りました。ご夫婦が一番多く過ごすリビングに、ごく自然なかたちで仏壇が溶け込んでいる。代々住み続けてこられた古民家らしい、住まいの在り方かもしれません。
障子や襖で隠れていた南と東側に新たに開口部を設けることによって、より解放性の高い、陽性な空間に生まれ変わりました。室内と庭も繋がって、敷地全体の広がりを感じるリビングです。新しいサッシの開口部でキッチリと切り取られた庭の景色が新鮮に見えます。