埼玉県入間市の建築リノベーションは一級建築士事務所/独楽蔵へ

地域資源としての建築を活かす、子ども図書館への取り組み

リノベーションされた蔵が育む、子どもたちの学びと居場所

入間市鍵山にある、西山荘STREET(繁田醤油)。
醤油工場を中心とした歴史ある建築群を活かしながら、地域にひらかれた場として再生されたこの場所では、現在、子どもたちの新たな居場所づくりとして「子ども図書館」の取り組みが進められています。

この活動を担っているのが、任意団体 @kuratosho_iruma の皆さんです。
敷地内に残る大きな蔵を活用し、子どもたちが安心して過ごせる「蔵の自習室」や、絵本の読み聞かせなどの活動を継続的に行っています。

また、同じ場所では他団体による子ども食堂なども開催されており、建築が複数の地域活動を受け止める“器”として機能していることがうかがえます。

今回訪れたのは、子ども図書館に向けた第一歩として、無垢材による本棚やベンチが設えられ、おはなし会(絵本の読み聞かせ)が開催されるタイミングでした。既存の蔵空間に、地域の方々や、こどもたち。また、新たな家具が加わることで、空間の使われ方や滞在の質が自然に変化している様子が印象的でした。

この建築群の大規模なリノベーションを計画し、設計監理したのは、約10年前のことです。それから年月を経たいまも、地域に根ざした場所として多くの人に使われ、特に子どもたちの日常的な居場所として機能していることに、建築の持つ持続性や柔軟性をあらためて感じました。

当日は、電子ピアノの伴奏付きの読み聞かせが行われ、蔵前のデッキスペースでは地域の野菜や綿菓子の出店もあり、建築の内外を連続させながら、にぎわいが生まれていました。建物単体ではなく、周囲の外部空間も含めて使われることで、場としての厚みが育っているように感じられます。

折しも、近隣の飯能市にある「こども図書館が、財政難を理由に来年度から休館するというニュースを耳にしました。

飯能市の大きな魅力のひとつだっただけに、」とても残念な気持ちになります。だからこそ、この地域で続けられている「子ども図書館」という活動を、心から応援したいと思いました。

これからの時代、財政的な理由によって公共サービスが縮小していくことは、避けられないのかもしれません。
だからこそ、施設や活動を行政がすべて担うのではなく、このような任意団体や個人へと少しずつ移管しながら、活動を支えるための補助金や仕組みを整えていく。そんな新しいかたちも、模索していく必要があるように感じています。