ハンモックに揺られながら気づいた「家族の溜まり場」づくり
2025/9/10
十数年前、我が家のリビングに設置したハンモックは、子どもたちが小さな頃には、まるでブランコのようにブンブン揺らして遊び、、家族や来客が代わる代わる腰をかける象徴的な存在でした。

こどもたちがまだ小さかった頃
年月を経るなかで、オーガニックコットンの手染めの糸はほつれ、穴が空き、やがて使われることも少なくなりました。先日、思い切ってハンモックを買い換えました。
以前と同じメーカーの「ハンモック2000(@hammock2000)」。色のバリエーションも豊富ですが、家族で相談した結果、やっぱり前と同じブルーに。新しくなって、使いやすくなると不思議なもので、家族が自然とまた集まってくるようになりました。

新しいハンモックでご機嫌のワンコ
長男はワンコと一緒に揺れ、次男は朝からハンモックで寝ていることも。夕食後には妻がスマホを見ながらゆらゆら。気づけばリビングの滞在時間が長くなっているのです。新しいハンモックがもたらしたのは単なる「居場所」ではなく、「滞在時間の延長」という具体的な変化です。
最近は子どもたちも大きくなり、晩ごはんを食べ終えるとそれぞれの部屋へと戻ってしまうことが多くなりました。だからこそ、ハンモックひとつで「また家族が集まる場所」ができたことに気づかされます。
もちろん、一人の時間も大切ですし、無理に集まる必要はないのかもしれません。でもせっかくの家族ですから、もう少し同じ空間で過ごせたらいいな、とも思うのです。

大きなスイカと一緒に
近代以前の住居では、居間=「お茶の間」が家族の生活の核として機能していました。暖房器具やテレビといった設備が限定的であったため、必然的に「一箇所に集まる仕掛け」が組み込まれていたのです。ところが現代住宅では、空調や情報端末が各個室に完備されることで、リビングの求心力は相対的に低下しています。結果として、食事の時間を除けば家族が共に過ごす必然性は希薄化しました。

クラスメイトと一緒に
建築的に見れば、リビングは単なる通過空間で終わらせるのではなく、「滞在を促す装置」として設計されるべき場所です。家具や仕上げの選定、暖房器具の配置、視線や音の広がりといった要素が、家族の集まり方を大きく左右します。ハンモックはその一例に過ぎませんが、「滞在の質」を高める小さな仕掛けとして有効に働きました。

ハロウィンで遊びに来た女の子たちと
家族のライフスタイルが多様化し、個室化が進む現代だからこそ、リビングに「再び集まる理由」を埋め込むことが求められています。遊び心のある家具、火を囲むストーブ、あるいは調理を共に楽しめるキッチン。そうした装置の存在こそが、空間に人をとどめ、関係性を生み出し、結果として「家族の溜まり場」を形づくるのです。

高校の部活のメンバーたちと
ハンモックに揺られながら改めて感じるのは、空間の広さや形態よりも、そこに仕掛けられた「滞在の誘因」がリビングの価値を決定づけるということでした。

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