2023年2月の記事一覧

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【設計事務所 独楽蔵の家に住むひとの日常】おままごとと木造の家の記憶

【設計事務所 独楽蔵の家に住むひとの日常】おままごとと木造の家の記憶の画像

【設計事務所 独楽蔵の家に住むひとの日常】おままごとと木造の家の記憶

子どもの頃、近所に立派な一軒家が建つ予定だったのだけれど、柱、梁、屋根といった骨組み部分を完成させる「棟上げ(むねあげ)」までしたところで、施主と工務店が喧嘩別れをしたとかで、工事は止まり、しばらくそのまま放置されていた。大人たちは「早く解決して、壊すなりなんなりして欲しいわ」なんてぼやいていたが、子どもたちは大喜びだった。この骨組みの家は、間違いなく「おままごと」に使えるからだ。

設計事務所のアトリエの30年使用した薪ストーブを交換(入間市)

設計事務所のアトリエの30年使用した薪ストーブを交換(入間市)の画像

設計事務所のアトリエの30年使用した薪ストーブを交換

独楽蔵のアトリエの半地下ホールにある薪ストーブは、事務所の完成時から約30年使い続けています。その薪ストーブ(SCAN)は、煙突が直径150mmのシングル煙突でしたので、熱効率も悪く、ストーブ本体のすぐ上で90度折れ曲がっていたので、薄くなって穴が開くこともあり、その都度、新しい煙突に交換していました。また、本体には天板に大きなヒビが入ったり、扉の耐熱ガラスは割れたりして、かなり劣化した状態でした。

【建築は新たな出会いや世界を見せてくれる扉】牧野富太郎博士&高知県立牧野植物園

【建築は新たな出会いや世界を見せてくれる扉】牧野富太郎博士&高知県立牧野植物園の画像

【建築は新たな出会いや世界を見せてくれる扉】牧野富太郎博士&高知県立牧野植物園

高知出身の日本植物分類学の父、植物学者:牧野富太郎博士を知ったのは、好きな建築家:内藤廣さんが設計した牧野富太郎記念館(1999年竣工)を建築の雑誌で見たからです。その建物は博士が逝去した後、彼の業績や活動、志を形にした高知県立牧野植物園内に、新たに計画されました。楕円形の中庭を囲む折れ曲がる大きな屋根が特徴的な建築は、当時には珍しく「建物を周囲の木々よりも低くして、環境に溶け込ませる」というコンセプトでした。周囲の風土や環境を生かして、建物を主役にしないその思想や、建築や環境を育てる長い時間軸にも共感しました。

【設計事務所 独楽蔵の家に住むひとの日常】「牧野植物園」の庭 ギンリョウソウ

【設計事務所 独楽蔵の家に住むひとの日常】「牧野植物園」の庭 ギンリョウソウの画像

【設計事務所 独楽蔵の家に住むひとの日常】「牧野植物園」の庭 ギンリョウソウ

「ギンリョウソウは、もうご覧になりましたか」そう話しかけられたのは、もう何年も前のこと。高知にある「牧野植物園」を訪れた時だった。植物が好きで、好きで、大好きでたまらなかった植物分類学の父、牧野富太郎博士の世界を具現化したような、その自由な空間。五台山(ごだいさん)という豊かな自然環境をそのまま活かした園地には、牧野博士ゆかりの3000種類以上の植物が大切に育まれていた。

【設計事務所 独楽蔵がデザインした家に住むひとの日常】薪棚で冬眠していたヤモリ

【設計事務所 独楽蔵がデザインした家に住むひとの日常】薪棚で冬眠していたヤモリの画像

【設計事務所 独楽蔵がデザインした家に住むひとの日常】薪棚で冬眠していたヤモリ

ある朝、最後の薪を手に取った時、空っぽになった薪置き場を見て、あ、と思わず声をあげた。ヤモリだ。淡い粉をふりかけたような柔らかく薄い皮膚は、白く変色して、微動だにしない。ぼんやりとした斑紋が散らばる小さな体は、警戒心もなく、無防備に投げ出され、前足を木っ端に引っ掛けていた。少々、寝相が悪い。

【設計事務所がつくった家に暮らす日常】無垢材の床のザラザラ問題

【設計事務所がつくった家に暮らす日常】無垢材の床のザラザラ問題の画像

【設計事務所 独楽蔵の家に住むひとの日常】無垢材の床のザラザラ問題

ざらざらするのである。床が、いつもざらざらしているのである。毎日掃除機もかけるし、白木屋傳兵衛の江戸箒(えどほうき)は、こだわって大小揃えた。年に何回かは、アウロという無垢材用のワックスで雑巾がけもする。でも、どうにもこうにも、ざらざらするのだ。

【設計事務所 独楽蔵がデザインした家に住むひとの日常】暮らしと行事(節分)

【設計事務所 独楽蔵がデザインした家に住むひとの日常】暮らしと行事(節分)の画像

【設計事務所 独楽蔵がデザインした家に住むひとの日常】暮らしと行事(節分)

今年も、節分がやってきた。柊鰯も飾らず、恵方巻きもなく、それらしいことはしないけれど、豆まきだけは、家族揃って行うことにしている。おもむろにガラス戸を開け、深呼吸。外の庭に向かって、夜空に向かって、思いきり豆を投げ放つ。そして、大声で叫ぶ。私が。私だけが。

【設計事務所 独楽蔵の家に住むひとの日常】玄関を季節の花で彩る

【設計事務所 独楽蔵の家に住むひとの日常】玄関を季節の花で彩るの画像

【設計事務所 独楽蔵の家に住むひとの日常】玄関を季節の花で彩る

さっそく、玄関に飾ってみる。香水、洗剤、消臭剤。何事も香りが強い現代において、梅の香りは、驚くほど、微かで、儚い。蕾も、咲きかけも、パッと開いた姿も、何処もかしこも愛らしい花に、うっかり触れて落としてしまわぬよう、そっと頬を寄せてみると、ため息ほどの甘い香りをくれた。昔も今も、こんな香りに気づける繊細さがあってこそ、恋に落ちも、落としも、できるのだろう。玄関がそこはかとなく、やわらかい空気に包まれる。家族は、この香りに気づくだろうか。

【埼玉の設計事務所がつくる新築木造住宅】犬(ペット)目線の暮らし:朝の風景(埼玉県日高市)

【埼玉の設計事務所がつくる新築木造住宅】犬(ペット)目線の暮らし:朝の風景(埼玉県日高市)の画像

【埼玉の設計事務所がつくる新築木造住宅】犬(ペット)目線の暮らし:朝の風景

私は、自分のお部屋で寝たり、陽あたりの良い窓辺でまどろんだり、薪ストーブをチェックしたりする。変な人がいないか、外を見張っていることもある。家のなかには、お気に入りの場所がたくさんあって、季節の移り変わりや、その日の気分で、居場所を変えながら、自分時間を楽しむ。

【設計事務所がつくった住宅に暮らす生活者目線 】玄関土間の使い勝手(埼玉県日高市)

【設計事務所がつくった住宅に暮らす生活者目線 】玄関土間の使い勝手(埼玉県日高市)の画像

【設計事務所がつくった住宅に暮らす生活者目線 】玄関土間の使い勝手

玄関を整える。とても清々しくて、気持ちの良い作業だ。我が家の玄関は、いわゆる昔の家でいう土間づくりで、上質な迎賓の趣というより、外と内をゆるやかに繋ぐ、動きのある空間だ。家族と犬が日々、出入りするので、はき掃除がしやすく、汚れが目立たない、炭を練り込んだモルタル仕上げの床が効いてくる。

【設計事務所がつくった住宅に暮らす生活者目線 】飼い犬との散歩&近所付き合い(埼玉県日高市)

【設計事務所がつくった住宅に暮らす生活者目線 】飼い犬との散歩&近所付き合い(埼玉県日高市)の画像

【設計事務所がつくった住宅に暮らす生活者目線 】飼い犬との散歩&近所付き合い(埼玉)

自分の思い込みなんてちっぽけで、えいっと外に飛び出てみると、自分ではない誰かや、何かが、知らない世界を教えてくれる。金柑は美味しいよ、とか。あれはカワセミの鳴き声だよ、とか。この雨は、じきに止むよ、とか。なにも地の果てに旅しなくたって、日々の暮らしは、旅のように、おもしろいものだ。