【暮らしnote No.08】
writing:maiko izumi
埼玉県入間市にアトリエを構える建築設計事務所 独楽蔵 KOMAGURAが設計した新築木造住宅に住む生活者(maiko izumi)から見える日々の暮らし
無垢材の床は、心地よく五感を育む。呼吸するような木の温もりを感じながら、裸足で過ごしてみては、どうだろう。
すると。
ざらざらするのである。床が、いつもざらざらしているのである。毎日掃除機もかけるし、白木屋傳兵衛の江戸箒(えどほうき)は、こだわって大小揃えた。年に何回かは、アウロという無垢材用のワックスで雑巾がけもする。でも、どうにもこうにも、ざらざらするのだ。
子どもが小さい頃は、砂場の砂が、来る日も来る日も、我が家を襲った。玄関前のデッキで、小さな運動靴を逆さにすると、ザーッと音を立て、尋常でない量の砂が落ちる。目をつぶって聴くと、遠い海辺の寄せては返す波音のように。
桜貝のようなぷっくりとした足指の間からは、しゃりしゃりと砂糖菓子のような愛らしい音が聴こえてくる。しかしこれは、砂糖ではない。砂だ。ポケットからも、靴下からも、サプライズ砂は、現れる。手足を洗ったから大丈夫などと、油断してはならない。天使の輪が輝く子どもの柔らかい髪の毛に、きらきらと光るもの。そう、ここにも砂がまぶされている。しかも、すごく取れにくい。
怒涛の砂場遊びをようやく卒業すると、次にやってくるのは、校庭やグラウンドの砂。雨の日には、泥という猛者も加わる。今日は人工芝のグラウンドだから安心と侮るなかれ。黒いツブツブ(ゴムチップ)がびっしり落ちている。
洗濯を干すと、はらり。乾いた洗濯からも、はらり。さまざまな、ざらざらは、日常を少しずつ侵食し、気分はもう、砂の女だ。そこに新たな家族として犬もやってきて、ざらざらと犬毛のマリアージュが生まれる。ある日、ダイソンの掃除機が、哀しそうな悲鳴を上げ、そのあと沈黙した。
我が家の掃除道具は薪ストーブの脇に
もうしょうがない。五感を育む豊かな暮らしは、決してきれいでもないし、おしゃれでもない。だけど、思いきり笑ったり泣いたり、想像もしなかったような面白いことが、いっぱいあると、砂が教えてくれた。アンパンマンの靴が、瞬足に変わり、いつの間にか私の靴よりずっと大きいスパイクになっても、ざらざらと手触りのある日々は続いていく。
建築設計事務所 独楽蔵(こまぐら)では、新築のペットと暮らす木造住宅はもちろん、庭づくりや古民家や中古住宅のリフォーム、リノベーション、現況調査や耐震補強などのご相談もお受けしています。今、お住まいの住宅で、気になっている部分、ご不明な点や疑問点などあれば、電話やメールなどでお気軽にご相談下さい。
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この住宅の完成時の様子はこちら↓
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