日高市の木造新築住宅、設計デザイン,住宅設計,設計事務所

川と共に暮らす 高麗川沿いの木造一戸建て(埼玉県日高市)

西武秩父線 高麗駅下車、車やトラックに混じってロードバイクの車列が通り過ぎる国道299号線を秩父方面に7分程度歩くと、荒川水系の高麗川(こまがわ)にぶつかります。その高麗川に架かった橋(高麗橋)から眺める水面はずいぶん下のほうを流れていて、川の両脇の川岸は崖状に競り上がっています。岩が剥き出しの崖の中腹には、ケヤキや榎などの雑木の巨木が岩の隙間から根を張っていて、大きな枝が重なるように川の上に張り出しています。

今回計画した家は、その橋の袂、高麗川沿いの崖の上に建つ新築木造住宅です。将来にわたって残存する川と、川岸の緑を暮らしに取り込んで、自然に囲まれた暮らしを目指します。

リビングは川と緑を借景に

建主は水の流れを見るのが好きで、埼玉県西部地区で川のそばにある敷地をずっと探していました。この土地を初めて見たときにいいなぁと感じたのは、まさに川の隣で、水の流れを感じながら暮らすことができると思ったからです。敷地から約7~8m下の水面から崖が迫り上がっています。

その川岸の崖に生えていた巨体な欅や榎などの雑木も、とても魅力的でした。川の向こう岸にも、雑木や針葉樹、竹などが自生していて、視界の中に人工物が一切入らないのも、大きな魅力の一つです。川の景色の借景と広い空が、日常の喧騒を忘れさせてくれます。

この敷地を購入した一番の理由は、「毎日、川の流れを見ながら生活をしたかったから」ですから、そのコンセプトに対応するように、リビングの南東側には、巾3400mmの木製ガラス引き戸を配置しました。ガラス戸を2本引きにすることで、丸々全解放することも可能です。使い勝手も考慮して、網戸も収納されています。

川の近くは地盤が悪いのか?

川や崖の近くに家が建っているので、よく、友人や知り合いから「崖が崩れて、家が落ちてしまう心配はないか?」とか「増水の際に、崖がくずれるのではないか?」と心配されることがあります。我が家の崖部分は、硬くて大きな岩盤でできていて、長い年月の間、水に流されることなく、同じ状態を保っています。

実際に家が建っている部分も、地盤調査の結果、厚い砂利層が分布していて、地盤的にも強固で安定していることがわかっています。意外かもしれませんが、大きな川の隣接地は、砂利層で地盤がいい場合が多いのですが、この敷地もその同じ例だと言えます。

西側(道路側)外観:駐車スペースは3台分確保。車を移動すれば、薪割りなどの作業スペースに・・・。

コンクリートと亜鉛鉄板でできた外タラップを登って、2階バルコニー&離れに。2階のバルコニーに登るためのタラップの下は、薪棚として利用しています。

リビング東南の大開口部は全開放

リビング東南の木製大開口部は、大工さんと建具屋さんで製作しました。ラワン材で出来た鴨居には、4本の溝が掘ってあります、2本は木製ガラス戸、残りの2本は、網戸のためのモノで、木製建具全てを引き込むことができます。すべてを解放すると34oomm大開口で、リビングとデッキテラスを一体で使用することが可能です。

左の外部タラップから、2階のバルコニーに上がることができます。2本引きのガラス引き戸は1本の長さが約1700mm、開口の高さが2000mmありますので、ガラスもかなり大きくなります。断熱性を考えて、ペアガラスを使用していますので、ガラス自体の重さもかなりあります。重量や使い勝手を考えると、可動式のガラス引き戸としては、これがMAXの大きさであるような気がします。

リビングに薪ストーブゾーンをつくる

リビングの南東の大開口部の右脇のアルコーブ(窪み)に、薪ストーブのスペースがあります。床材は玄昌石300角(ネムリ目地)、ストーブの周りはファイアーガードのようにモザイクタイルで、不燃材の壁を作っています。全体を黒を基調とした色合いでまとめてありますが、これは薪ストーブは使用時に、火の粉が飛ぶこともありますし、灰や薪くずで床が汚れるからです。

すぐ脇には、掃き出しの開口部がありますので、木屑や灰は箒で簡単に掃き出すことも簡単ですし、薪の搬入にも便利です。床にそのまま薪を置くことも出来ますし・・・。ストーブの周囲を囲う屏風状のモザイクタイルの壁には薪ストーブの道具を掛けておくためのフックを取り付けてあります。火の道具の見せる収納です。

リビングは漆喰と無垢材の自然素材

2階を支える2本の独立円柱は、直径180mmの磨き丸太(ヒノキ)。子供たちが登り棒のように登ったり、柱を背もたれにしてテレビを見たりしています。小さな子供たちは、床使いで遊んだり、必要以上にモノに触ったりと触覚に敏感です。ですから、子育て世帯の住宅では、使う建築材料はなるべく本物の自然素材がいいのではないかと思います。

子育て世代にはリビングと続き間の上がり座敷

リビングの東側には続き間になっている畳の上がり座敷があります。引き戸を閉めると完全な6畳の個室になるため、両親や親戚、友人などが泊まることのできる客間として活用できます。普段は、引き戸を開け放って、リビングと一体の空間として使用しています。

リビングと続き間の和室(客間)建具(襖)を閉めて個室として使用。部屋の奥には、2階コテージへ登れるハシゴがあります

⑦ 2階のコテージは独立した秘密基地

2階からも川を楽しみたいので、川に向かって大きなバルコニーを作りました。バルコニーの先端には、独立した4.5畳のコテージがあります。もちろん、2階の他の部屋からバルコニーを通って行けるのですが、バルコニーは外部のタラップから直接、アプローチすることができます。どちらかといえば、こちらの方がメインのルート。室内を経由せずに直接行ける本当の意味での「離れ」の空間です。

家の中で、川から一番近い窓辺です。1階和室に続く梯子のトンネルは、蓋を閉じて、完全な個室にしてしまうことも可能です。

パブリック(書斎:ワークスペース)とプライベート(家族の空間)を振り分け

この住宅のポーチは、1階の大屋根の軒下空間につくった4.5畳。雨や雪の際の車からの荷物の出し入れや、傘のまま濡れずに入ることもできますし、ベビーカーや三輪車などを出したまま置いておくこともできます。このポーチに面した2つのガラス引き戸。片方は玄関の入り口で、もう一方は、書斎(ワークスペース)の窓です。

ポーチや玄関土間で、パブリック(書斎:ワークスペース)とプライベート(家族の空間)を振り分けることができるように計画しました。家族のスペースを経由せずにワークスペースを活用したかったからです。来客の際もオンライン会議の際も、プライベートスペースに関係なく仕事を進めることができます。

書斎は、合板 9mm下地の上にペンキ仕上げでシンプルに

書斎の壁、天井は、『ペンキ仕上げ』の独特の風合い。ピタッとフラットな質感や、塗り重ねた際に感じる塗装面の厚みや年月の重なり具合が魅力です。石膏ボードやクロスの上からも塗装可能ですが、今回は、合板の下地。ボードと違って、小口の強度があるので、合板の継ぎ目を開けて張る「目透かし張り」もキレイですし、合板の厚みが9〜12mmあると、どの場所でも釘やビスを打ち放題。暮らしてからのDIYがより便利で、楽しくなります。

この新築木造住宅は廊下のない家

玄関土間に入って、2本のガラス引き戸を開け放つと、すぐにリビングスペース。この家には、通常あるような玄関ホールや廊下がありません。その部分に使う面積を利用して、リビングや玄関土間空間をより広く計画してあります。また、ガラス戸を全解放すると玄関土間とリビング空間が一体化して、使用可能です間取り的には、昔の農家に近い間取りかもしれません。

薪置き場&中古枕木のデッキテラスは、DIYで

この住宅の間取り図