【谷口吉生さん設計の金沢市立玉川図書館】帰省の帰路、寄り道(金沢)②

【谷口吉生さん設計の金沢市立玉川図書館】帰省の帰路、寄り道(金沢)②

金沢市立玉川図書館に建物を見学にいきました。谷口吉生さんが設計、父親の谷口吉郎さんが総合監修をした建物です。1978年竣工なので、40年以上前の建物ですが、本当にいい建物は、長い時間が経過しても、当時の思想や志が感じられますし、建物と共に時代を乗り越えて、残っていくことを実感できました。

玉川図書館は、本館と近世史料館の2棟で構成されています。近世史料館が歴史の重みを感じさせる伝統的外観が保存されているのに対し、本館はシンプルな意匠の外観と明るく開放的な内部空間を持つ現代的な建物とし、違った特徴を持たせています。併設している近世史料館では、郷土に関する古文書を取り扱っています。旧専売公社金沢工場の煉瓦造の建物と現代建築を融合させた建物は、谷口吉郎・吉生親子による最初で最後の共同作品です。

外壁がコールテン鋼のシンプルな直方体

玉川図書館本館はシンプルな直方体。外壁にはコールテン鋼が使われています。コールテン鋼は、鋼の最大の弱点であるさびを、独特の形で克服した耐候性鋼です。表面に緻密な保護性さびを形成し、以降のさび進展を抑制します。1~2年で落ち着いた黒茶色になり、その後の変化は少ないですが、より深い茶色へと変わっていきます。

建物は隣接する公園を利用する人が中を通り抜けられるようにすることで、図書館と街のつながりを深め、建物の公共性を高めています。中庭の床と壁は近世史料館と同じ赤レンガで仕上げられており、本館と近世史料館の一体化が図られています。

人々が集まる部分と管理部門を分離

東側の開架部門と中庭を挟んで西側にある参考資料室や学習室、事務室などの学習・管理部門から構成されており、これらを切り離すことによって、心理的にも、開架部門をより開放的で身近な空間としています。

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