【谷口吉生さん設計の鈴木大拙館】設計者目線のディテール
2019/5/3

黒御影石を使った水盤のエッジ&黒那智石
谷口吉生さんの建築空間、共通の美意識
谷口吉生さんの建築空間に入ると、いつも心地よい緊張感で、見ているこちらの襟を正されるような感覚があります。一見、とてもシンプルで単純なデザインのように見えますが、考えられた寸法の積み重ねです。細部をよく観察してみると、丁寧に細かく考えられたディテールの集積で、空間が成り立っていることがよくわかります。

水盤と苔、歩道の境界部分
水盤のエッジの石は、三角形の断面でエッジを細く仕上げています。
ディテールの挑戦と限界の鬩ぎ合いが建物全体の精神性を高めている
奇をてらったアクロバティック的な収まりとは違い、ベーシックな収まりを極限に突きつめていった先の、挑戦と限界の鬩ぎ合いが建物全体の精神性を高めています。

水盤と石張りの回廊、落下防止のための細いステンレスの手すり(角の収まりが秀逸です)
落下防止の柵は細いステンレスの角棒でつくられています。柵の柱は同じ角棒で作られていて、回廊の床とは縁を切って、水の底から立ち上がっています。柵が90度に交わる角には、柱がなく両側からバーが跳ね出しています。角棒通しも交わりは、丸く落として、さらに細い接合になっています。

細いアルミフレームのサッシと追突防止の柵

アプローチ部分の階段とスロープの取り合い
階段の滑り止めの細いスリット。階段とスロープが交わって、立ち上がりの影が消える。視覚障害者のための点字ブロックも石張りの床と馴染んできます。

見切りのスチールバー

建物と床の接点につくった雨水処理のための細い溝
同じことはもちろん私にはできませんが、物事を突きつめて考える仕事の仕方や、諦めずに考え続ける努力の大事さを改めて感じました。
関連ブログ:【谷口吉生さん設計の鈴木大拙館】帰省の帰路、寄り道(金沢)①
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