杉板の南京下見張りによる外壁仕上げ|鎧張りの施工と納まり
2025/11/4
木を使った外壁仕上げにはいくつかの方法がありますが、
今回の住宅では、杉板による「南京下見張り(なんきんしたみばり)」を採用しました。
横方向の板材を下から少しずつ重ねながら張っていく工法で、
その姿が鎧のように見えることから「鎧張り(よろいばり)」とも呼ばれます。
段差によって雨水の切れが良く、風や水の侵入を防ぐなど、
日本の気候風土に適した伝統的な外壁仕上げです。

加工済みの杉板
木で包む外観デザイン
一般的には、経年劣化やメンテナンスのしやすさを考慮して、
軒のある部分や手の届く範囲に限定して使用することが多い木外壁。
しかし今回は、お施主さんの希望もあり、建物全体を杉板で包み込む計画としました。
素材そのものが持つ表情と経年変化を、
「家とともに味わう」デザインとしています。

杉板:南京下見張り(出隅)の収まり
施工仕様とディテール
一般的には、経年劣化やメンテナンスのしやすさを考慮して、
軒のある部分や手の届く範囲に限定して使用することが多い木外壁。
しかし今回は、お施主さんの希望もあり、建物全体を杉板で包み込む計画としました。
素材そのものが持つ表情と経年変化を、
「家とともに味わう」デザインとしています。

施工仕様とディテール
使用した材料は、杉板180mm×22mm。
板を重ねて張る際に厚みが出すぎないよう、
大工が一枚ずつ加工し、重ね代部分を鉋で薄く仕上げています。
木の表面(木表)は、節が少なく木目が美しい反面、
外側に反る性質を持つため、
重ね部分の裏側はビスでしっかりと固定し、
表面に見える部分はステンレス製のスクリュー釘を使用しています。
出隅(角の部分)は、板の断面を互い違いに組み合わせる「本実加工」に近い納まりとし、
見た目の一体感と耐久性を両立させています。

手仕事の積み重ねがつくる外壁
施工面積が広く、手間のかかる工程ですが、
一枚一枚、職人の手で張り上げられていく過程には、
木の持つ質感や呼吸するような温もりが感じられます。
木の外壁は、時間とともに少しずつ色が落ち着き、
風雨や光の影響で独特の味わいを増していきます。
その変化も含めて、「自然素材の家らしさ」を育てていく、
長く愛着の持てる外壁仕上げです。
関連記事
【古民家リノベで新たに購入した古建具を生かす】埼玉県坂戸市
世田谷区八幡山の築35年の住宅リノベーション 現場の様子
【栃木市の築180年の店蔵改修計画】リノベーションのための解体作業2
【栃木市の築180年の店蔵改修計画】リノベーションのための解体作業2





