埼玉県入間市の歴史的建造物のリノベーション デザイン

入間市文化創造アトリエAMIGO 5 ホール(旧工場棟)

埼玉県入間市にあった閉鎖された繊維工業試験場の建物群を、市民が利用するコミュニティ空間に再生した施設 [文化創造アトリエ AMIGO]。敷地に元々あった管理棟、工場棟、研究棟、宿直室、倉庫などの建築を、人々が集まれる空間づくりのためにリノベーションを行いました。市民の自由で創造的な文化活動の場として利用されています。

目 次(クリックすると開きます)

工場の大空間を人の集まるホールスペースに

赤いのこぎり屋根のカラー鉄板屋根。大きな工場を連想させる屋根のカタチですが、広い空間に屋根面から光を入れて室内を明るくするために効率的なカタチです。この建物は、繊維工業試験場の時代でもやはり、繊維を作ったり、試験をしたりする工場棟として使用されていました。柱の少ない大空間ですので、コンサートや演劇、発表会に講演会など、たくさんの人が集まる催し物の空間として再生しました。

工場の意匠をそのままに

広い空間の中に建っている独立柱の脇には、グレーの塩化ビニールのパイプが取り付けてあります。このパイプは屋根の谷の部分に流れる雨水を下に落とすための縦樋で、室内を通って外に排水されます。そのような工場特有の構造や小屋梁の小屋組が、工場だった頃の記憶を今に残しています。

外部空間との繋がりをつくる

腰窓のみで、室内だけで完結していた工場空間ですが、掃き出しの開き戸に改造することによって、外部空間と内部の境界をあいまいに。催し物によっては、芝庭や枕木テラスが舞台になることも可能です。使い方の自由度をあげるための仕掛けです。

腰窓から掃き出し窓にした部分の柱は、元々あった土台を切って分離しないように床は舞台上にして立ち上げています。補強のための三角形の袖壁も床面に増設しました、

設備の不備を逆転の発想で利用

この空間には、通常のホールにある空調設備も防音設備もありません。そうした設備を設けるだけの予算もありませんし、そもそもそうすると、昔ながらのこの工場の雰囲気を残しながら使う事が出来なくなるからです。

夏は暑く、冬は寒いこの空間は、使い方を工夫することで、かえって自由度の高いイベントや催し物が行われる結果となりました。

大きな鏡が空間に広がりを

『入間市文化創造アトリエ アミーゴ』 活動の様子→こちら

アミーゴの夜の風景