AMIGO! 入間市文化創造アトリエ 設計デザイン

AMIGO! 入間市文化創造アトリエ

旧用途:埼玉県繊維工業試験場 → 新用途:市民コミュニティーセンター

[文化創造アトリエ AMIGO]は、閉鎖された繊維工業試験場の建物群を、市民が利用するコミュニティ空間にリノベーションした施設です。敷地に元々あった管理棟、工場棟、研究棟、宿直室、倉庫などの建築群は、 それぞれの建物の特徴や、たくさんの人々が集まれる空間づくりのために一部、解体を含む再生を行いました。平成13年のオープン以来、自由で創造的な文化活動や、文化的なまちづくりの原動力を担う市民の活動の場として活動されています。(埼玉県入間市仏子766-1)

工場の歴史を残し、使い継ぐ知恵と精神

懐かしいのにあたらしい、わくわくするような仕掛けに満ちた場所が誕生した。しかも、市の施設として、公民館でも市民ホールでもない、市民による市民のための創造空間として活用しようという画期的な試みです。

埼玉県入間市。西武池袋線仏子駅から歩いてすぐ、道の正面に、壁面にカラフルな旗が翻る大きな平屋の建物が見えてきた。平成13年2月にオープンした入間市文化創造アトリエ『AMIGO:アミーゴ』は、埼玉県繊維工業試験場をリノベーションした建物です。1998年に試験場が閉鎖されて、敷地・建物の管理が市に移管されたことから、計画がスタート。「壊して新しい施設にしようという意見もあったのですが、かつて繊維産業華やかなりし頃の痕跡や、たくさんの市民の思い出が染みついた歴史ある建物だし、過去を大切にする意味からも、街の良さをもう一度、見直すためにも、壊さずに大切に使おうということになったんです。」市職員でAMIGO担当の係長はこう語る。

AGIMO 5(旧工場棟) ホールの写真・詳細はこちら→

ノコギリ屋根を頭に抱く、開放的で天井の高い空間は、かつて繊維工場の織機のリズミカルな音が聞こえていた。現在は、演劇やコンサートなど、さまざまなイベントに使われる。

建物の構造や腐食の度合いを調査し、不特定多数の人たちが利用するコミュニティー施設に

最初に建物に出会ったときは手入れは行き届いていたものの、かなり老朽化が進んできた。しかし、天井裏や床下に潜って、建物の構造や腐食の度合いを調査したところ、構造体は乾燥していて、保存状態もいいことがわかりました。難点は、工場施設として使用されていた施設だけに、不特定多数の人たちが利用するコミュニティー施設としての活用がしにくい面があったことです。しかし、施設内でより老朽化が進んできた2棟を解体し、敷地の中央に空地をつくることでその問題を解決した。

施設全体配置図の様子・写真はこちら→

デザインは脇役にして、主役はあくまでも機能美

本館、サロン、ギャラリー、ホール・・・、約5000㎡の敷地に点在する1棟1棟に、昔のペンキ板やガラスなどが、さりげなく生かされ、往時の痕跡を留めている。「時代の匂いを残さなかったら、何もなりません。この建物のいい点は、工業というハードな目的で建てられていることで、余計な装飾がないこと。いわば、古ぼけているけど、骨格はしっかりとした『老雄』。だから、デザインは脇役にして、主役はあくまでも機能美。古さ、時間、歴史を『粋』に『ポップ』に残すようにしました。なぜ、『ポップ』かって?古くて重厚だと建物が尊大になって、使う人に馴染まなくなるからです。

AGIMO 5(旧工場棟) ギャラリーの様子はこちら→

東洋医学的に本当にやさしく手直し

予算が少なかったことも、逆に幸いしました。建物の改修工事費は、施設・設備費・外構工事まで含めて、約2億6千万円。こうした施設では破格の低予算です。

「西洋医学的なデカイ手術はしないで、東洋医学的に本当にやさしく手直しをしていきました。簡素なテコ入れをしただけで、枯れかかった草木が水を得たように建物が生き生きしてきました。『使い継ぐ』っていうことは、こういうことだと思います。」節約、倹約の精神で、工場で使っていた台車を収納にうまく利用するなど、知恵もフルに発揮しました。「粗末さの魅力ってあるなぁ・・・。」と改めて感じました。

市役所と独楽蔵のアトリエがご近所同士だったことも幸いした。市の担当者と独楽蔵のスタッフが、年中、気楽に打ち合わせを重ねながら、計画を進めることができたからだ。市の担当者が、改修の前から再生する過程にずっと寄り添えることはめずらしい。しかし、その意味は大きい。建物のことを身体の中にたたき込んで、施設の育ての親になっているのだから・・・。

AGIMO 3 サロンの様子はこちら→

AGIMO 4(旧研究棟を解体した空地部分) パティオの様子はこちら→

AMIGO 施設正面・フロントはこちら→

施設の不備を逆手にとって、自然を味方につける逆転の発想

新築では決して生まれない味のある建物。確かに魅力はあるが、機能的には問題ないのだろうか?例えば、ほとんどの建物に空調設備がないことで、市民から苦情は出ないのか?と市の担当者に尋ねると、「むしろ、逆ですね。この前も、バリ舞踊を見る会があったのですが、自然の風が気持ちいいと、外で寝転がる人も出たほど。『星が見える』と言って喜んでいました。寒いときにストーブを出したら、珍しいと喜んだミュージシャンもいました。ここでは、足りないモノを知恵で補うようにしています」

施設の不備を逆手にとって、近くを流れる入間川や原っぱ、風、雨、雪といった自然を味方につけるという逆転の発想。運営方法にも、やわらかな発想が行き届いている。

AMIGO 2(新築) スタジオの様子はこちら→

AMIGO 1(旧管理棟) 管理棟の様子はこちら→

AMIGO施設 活動の様子はこちら

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掲載誌:建築設計資料 98・用途変更 改修刷新・保存再生・コンバージョン
掲載誌:チルチンびと/2001 AUTUMN 18号 特集 「工場の歴史を残し、使い継ぐ知恵と精神」
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