埼玉県入間市のオフィスを住宅へリフォーム

心地よさ&遊び心を散りばめて〜築30年鉄骨住宅のリノベーション〜(埼玉県入間市)

埼玉県の西部に位置する入間市。昔ながらの商店街のメインストリートに面した短冊状の敷地に建つ細長い鉄骨の3階建て。以前はオフィスとして使われていた3階部分のスペースを、住居空間にリノベーションする計画です。サイクリングショップの店長をされているご主人とグラフィックデザイナーの奥さま、2人の小学生のお子さまがいる、4人家族。ご夫婦それぞれのセンスやこだわりは、とても自由でのびやかなものでした。自転車にスケートボード、こだわりのインテリアにあらゆるジャンルの書籍。暮らしのあちこちに、好きなものが散りばめられています。そこで、リビング&キッチン、リビング&バルコニーといった、さまざまな境界線の在り方を再構築し、居心地の良さと遊び心に満ちた空間づくりをめざしました。

細長い長方形の空間の中でリビングの位置を検討する

今回、オフィスを住居にリノベーションするにあたって、まず最初に検討したのが、暮らしの中心となる“リビング”の位置です。建物の南東側に、開放感溢れる大きな開口部と奥行き900mmのバルコニーがあったので、窓の方位とバルコニーから、この位置にリビングを置くことに決めました。

リビング(室内)とバルコニー(外部空間)の境界を探る

3階の居住空間は外部の空間が限られているため、家の快適性や利便性をあげる意味でも、バルコニーの役割はとても重要です。ただ、現状のままの奥行き900mmのバルコニーは使い勝手が悪く「活用できない余白としてのバルコニー」になってしまいますし、バルコニーを広げるとなると、今度は逆にリビング空間が狭くなってしまいます。そこで、もともとバルコニーがあったスペースに「居住スペース+収納ゾーン」を確保することを考えながら、リビングとの境界線を探っていきました。

解決法としては、中央部分に45°の入り江をつくることで、バルコニーがリビングと絡み合う形状を計画。壁面を45°角度をつけることによって、必然的に壁の長さがは、1.414倍(√2ですね・・・)になりますから、引き違いのアルミサッシを2ヵ所挿入することができました。開放部が2つになることで、明るい陽光が差し込むリビング空間も実現します。

また、開口部が斜めなので、外からは部屋の中が見えにくく、プライバシーを守ることができます。バルコニーには、もともと全体に大屋根が架かっていたので、外と内をゆるやかに繋ぐ中間領域として、フレキシブルに活用することができます。ガーデニングや読書、時には風を感じる書斎として。リビングのような寛ぎも、空の下にいるような開放感も、三角の個性的なバルコニーが叶えてくれました。

キッチンとリビングをゆるやかに繋ぐ、作り付けのテーブル&食器棚

リビングとキッチンを分けるのは、ダイニングテーブルと食器棚が一体化した作り付けの家具です。ダイニングのスペースをキッチンとリビングにまたがせて、境界を曖昧にしています。イラストレーターの奥さまは、ご自宅で仕事をされているので、時に打ち合わせスペースとしても機能します。

玄関からリビングに向かう通路には、壁一面の作り付け本棚。間仕切り壁と一体化した通路兼用の収納スペースです。すこし掠れたようなブルーの色合いが印象的です。ご家族の成長に合わせて、本の顔ぶれが変わっていく過程も楽しむことができそうです。

カフェのように。白いボーダータイルで魅せるキッチン

すっきりとした白のタイルで仕上げたキッチンスペース。左手に見える本棚のブルーとのコントラストが美しい。小さな木製窓からは、廊下から玄関までを見通すことができます。

玄関&廊下おさまり

住まいの入り口に表情を〜事務所のスチールドアを木製ドアに作り替え〜

内と外を繋ぎ、日々家族が行き交う玄関扉は、大切な住まいの顔です。もともとは無機質なスチールドアでしたが、住宅としての空間にするために、ラワン材の縦羽目板で新しい木製ドアをつくりました。玄関は建物の中心にある外階段に面しているので、屋根もありますし、直射日光にあたって劣化することもありません。

ドアの中心には小さなガラス窓。ちょうど室内があまり見えない方向なので、透明ガラスを入れました。玄関の向こうに見えるキッチンの木製小窓と、ちょうど合わさる仕掛けになっています。

 

廊下から玄関方向をみる。廊下はあえて、薄暗く洞窟の雰囲気で…。両側の子ども部屋から、やわらかな光が漏れます。廊下と、玄関扉のガラス戸は、同じ三角屋根のカタチで揃えています。

子ども部屋(2室)&主寝室

既存の窓を利用した子供室① 短辺はベットがおける最小の寸法に調整しました。深みのあるアースカラーの壁色は、外国のアパルトマンをイメージして。

リノベーションで断熱性を向上させる

可能であれば外部のアルミサッシも、新しい窓にしたいのですが、サッシを交換すると外壁工事も発生することや、3階部分の工事なので外部の足場も必要になってきますので、現状のサッシを生かしながら改装することにしました。ただ、30年前のサッシは、単板ガラス(シングルガラス)なので断熱性に難点がありますから、ガラス部分はアタッチメントをつけて改修用のペアガラスに交換します。

元々あった室内側の壁下地:石膏ボードがキレイに解体して、壁の内部、天井裏部分には、以前のグラスウール(断熱材)をすべて取り除きました。室内の断熱環境を改善するために、新しく現場発泡ウレタン材の断熱材(アクアフォーム)を施工するためです。

断熱性能向上のための方法

a 現場発泡ウレタン材の断熱材(アクアフォーム)で、隙間のない断熱環境をつくる
b 屋根面で断熱することによって、小屋裏の熱気を防ぐ
c 小屋裏に熱センサー式の換気扇を設置して、熱気を強制的に排気する
d 既存の単板ガラスをアタッチメントで、ペアガラスに交換する
e ペアガラスは『Low-eガラス』(熱線反射ガラス)を使用

before&afterの間取りはこちら

イラスト計画案:築30年 鉄骨3階部分のオフィススペースを住宅にリノベーション
その後の暮らし:【働く・遊ぶ・勉強するリビング】「築30年 3階建てオフィス部分→住宅にリノベーション」(完成から6ヶ月経過)

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リノベーション前のオフィスの様子はこちら↓
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