“細長い家”は空間を上手に使って美しく〜限られた敷地の間口を有効に〜
敷地は南側道路で、道路に対して奥行きが長い短冊状の土地です。東西の両側に隣地の建物が狭っているために、開放感のある有機的な空地は南側のみになります。計画するのは一戸建ての木造住宅ですが、感覚的にはテラスハウスに近い形態ともいえます。
土地の面積が限られる街中で有効なテラスハウス。隣家との壁と共有して、連続して建っている建物のことで、いわゆる長屋です。共有する壁以外、庭やカースペースなどは各住戸専用なので、感覚的には一戸建てに近いとも言えます。
南側には、開口部の大きなリビングとデッキテラス、庭を配置したいのですが、限られた間口の中で、当然、アプローチ&駐車場も南側になります。また耐震性を図るための耐震壁も必要になります。ですからプランを考える上で一番大切なのは、リビングと玄関、そして耐震壁のベストなバランスを見極めていくことでした。
細長い敷地を上手に使う〜リビングと一体化した玄関土間のガラススクリーン〜
計画される新築住宅の南側に配置されるのは、リビングと玄関です。玄関は最低限の幅に計画して、なるべくリビングの幅を取りたいところです。そして、リビングを開放感のある広い空間に感じさせるために、玄関とリビングの間にある壁一面をガラスのスクリーンの間仕切りにしました。
ほとんどはFIXのガラスですが、玄関とリビングの間は、ガラスの一本引戸で開閉します。すごしやすい季節は、引き戸を開放することで、より開放感を楽しんで。玄関からリビングを見せたくない時は、ロールスクリーンでクローズにすることができます。
土間玄関の先は、キッチンスペースに直接通じる室内勝手口
細長い敷地を上手に使う〜廊下をなくした町屋式の細長い土間玄関〜
限られた空間を有効に使うためになくしたのは、玄関とリビングの間にある「廊下」です。玄関は京都の町屋のように家の奥まで伸びる細長い土間空間。さらに奥のガラス引戸を開けると、キッチンに続く上がり框(かまち)が現れます。リビングを経由せずに、直接キッチンにアクセスできる動線は、時短家事にも一役買います。
玄関に入って右手が全て、作り付けの収納になっています。下足入れ以外にも、生活全般の収納として、想定しています。天井まで伸びる大きな収納扉ですが、玄関土間が少しでも広い印象になるように下の部分は、隙間をつくって、床のタイルを張り伸ばしています。草履やサンダル、普段使いの靴などを隠しておける工夫です。
玄関土間スペースには、ロードバイクを2台吊れるように『ロードバイクハンガー』を上下2段で設置
収納&インテリアを叶える土間玄関〜壁一面の収納棚&ロードバイクのハンガー〜
お話を伺うなかで、ご主人と息子さんのロードバイク2台分を、室内に収納したいというご希望がありました。バイクの出し入れのためには玄関に置くのが便利です。細長く建物の奥に伸びる玄関土間は、ロードバイクの収納に最適でした。