
JR川越駅から線路と並行に南に向かって徒歩6分。脇の道に入ると細い道沿いに住宅が建ち並んだ住宅街の新宿町です。その東西に伸びる路地に面して、北側方向に奥に長い短冊状の敷地が3区画並んでいました。西側から住み手が決まって、新築の木造住宅を2件、計画しました。今回は残った最後の敷地の計画です。それぞれ3件の住宅は、個別の建物ですが、三軒両隣として、緑やデッキテラス、空地などの環境は、緩やかに共有しようと考えました。三軒並び右端の家。
川越市新宿町 街中での木造新築の暮らし(土間路地のある家)
JR川越駅から線路と並行に南に向かって徒歩6分。脇の道に入ると細い道沿いに住宅が建ち並んだ住宅街の新宿町です。その東西に伸びる路地に面して、北側方向に奥に長い短冊状の敷地が3区画並んでいました。西側から住み手が決まって、新築の木造住宅を2件、計画しました。今回は残った最後の敷地の計画です。それぞれ3件の住宅は、個別の建物ですが、三軒両隣として、緑やデッキテラス、空地などの環境は、緩やかに共有しようと考えました。三軒並び右端の家。
敷地は南側道路で、道路に対して奥行きが長い短冊状の土地です。東西の両側に隣地の建物が狭っているために、開放感のある有機的な空地は南側のみになります。計画するのは一戸建ての木造住宅ですが、感覚的にはテラスハウスに近い形態とも言えます。
土地の面積が限られる街中で有効なテラスハウス。隣家との壁と共有して、連続して建っている建物のことで、いわゆる長屋です。共有する壁以外、庭やカースペースなどは各住戸専用なので、感覚的には一戸建てに近いとも言えます。
南側には、開口部の大きなリビングとデッキテラス、庭を配置したいのですが、限られた間口の中で、当然、アプローチ&駐車場も南側になります。また、耐震性を図るための耐震壁も必要になります。ですから、プランを考える上で、リビングと玄関、そして耐震壁のせめぎ合いになりました。
計画される新築住宅の南側に配置されるのは、リビングと玄関です。玄関は最低限の幅に計画して、なるべくリビングの幅を取りたいところです。そして、リビングを開放感のある広い空間に感じさせるために、玄関と一体のワンルームに感じるように、壁一面をガラスのスクリーンの間仕切りにしました。
ほとんどはFIXのガラスですが、玄関とリビングの間は、ガラスの一本引戸で開閉します。リビングから玄関を見せたくない時は、ロールスクリーンでクローズです。
玄関ドアから細長く伸びる土間玄関
土間玄関の先は、キッチンスペースに直接通じる室内勝手口
空間を有効に使うために排除したものが、玄関とリビングのの間にある「廊下」です。玄関は京都の町屋のように家の奥まで伸びる細長い土間空間。さらに奥のガラス引戸を開けると、キッチンに続く上がり框が現れます。リビングを経由せずに、直接、キッチンにアクセスできる導線になっています。
玄関に入って右手が全て、作り付けの収納になっています。下足入れ以外にも、生活全般の収納として、想定しています。天井まで伸びる大きな収納扉ですが、玄関土間が少しでも広い印象になるように下の部分は、隙間をつくって、床のタイルを張り伸ばしています。草履やサンダル、普段使いの靴などを隠しておける工夫です。
玄関土間スペースには、ロードバイクを2台、吊れるように『ロードバイクハンガー』を上下2段で設置
計画の段階で、ご主人と息子さんのロードバイクを2台分どこかに収納したいというご希望がありました。バイクの出し入れのためにはやはり、玄関に置くのが便利です。細長く建物の奥に伸びる玄関土間は、ロードバイクの収納にぴったりでした。
キッチンの導線の邪魔にならないように、バイクは上下2段に吊ってしまいます。右側の壁面はすべて、収納スペースなので、残されたスペースは、ガラスのスクリーンの部分。「ロードバイクハンガー」取り付けのために、FIXのガラスの部分に木製の細い方立(ほうだて)をつけました。リビングや玄関土間からロードバイクを見ることのできる「見せる収納」です。
この家には玄関とリビングの間の廊下がありませんので、上がり框もリビングにあがるのを補助するためのモノです。ガラス引戸の大きさに合わせた円弧の形状で小さめの上がり框です。材質はケヤキの一枚板(無垢材)。軽快で浮いた印象に見えるように、スチールの1本脚で固定しています。施工業者さんの倉庫に眠っていたケヤキの板を加工して使ってもらいました。
リビングから見たケヤキの上がり框。リビングの入り口と框のサイズや位置は、この奥に収納するロードバイクの大きさを考慮して決定しました。
キッチンのカウンターがあるスペースは、ダイニングテーブルが配置されて、日常的に使用頻度の高い動的なエリアです。人が実際に触れたり、見たりする頻度も高いので、壁も汚れたり、傷がついたり劣化もはやい部分になります。ですから、傷や汚れが経年変化として、美しく感じられるように本物の素材を選ぶべきだと思います。
ダイニングからはガラス越しに2台のロードバイクを見ることができます
キッチンカウンターは、タモの無垢材の羽目板を縦張りで使用しました。比較的、硬い材料なので丈夫ですし、もし傷になっても、いい味を出してくれます。モノを掛けたり、飾ったりして、「使用する壁」としても活躍します。
【同じフローリングでも塗装で全然違います!】 クリアコート塗装仕上げと自然オイル塗装仕上げの違い 続きはコチラ→
採光の届きにくいキッチンは、サイドの開口部から光と風を取り入れます。窓は採光を兼ねたガラスショーケースを作っています
キッチンから直接、玄関土間に抜けることのできる室内勝手口
キッチンから玄関土間を見る。ガラス戸で締め切ることも可能です
階段からリビングを見る
今回の計画地は、南側接道で、間口の限られた奥行きの深い敷地。住宅で南側に必ず確保したいのは、リビングとそのリビングの採光と通風のための大きな開口部です。南側が接道の場合には、そこに家にアクセスするための玄関が必ず発生しますので、さらにリビングの間口が限定されることになります。加えて、南側道路を通行する不特定多数の人々からの視線もありますから、その部分も考慮しなければなりません。
今回の敷地は、奥行きにある程度余裕がありましたので、『駐車スペース2台分+植樹スペース+デッキテラス』を奥行き方向に配置計画することが出来ました。車が駐車している時は、車も緩衝材になりますし、樹木も適度に視線を遮ってくれます。
また、駐車スペースの東側に外物置と駐輪スペースのある小さな小屋を建てることによって、南東側からの視線をブロックするような計画にしました。
リビングの大開口を南の前面道路に対して、南東方向に45°振ることによって、光の関係で道路から直接見えにくくしています。また、リビングの開口部を対角方向に振ることによって、壁面の長さが、1.4倍になりますので、その分、開口部も大きく確保することができました。
濃紺のモザイクタイルがアクセント
デッキテラスを取り囲むように、約300mm程度高さを上げて、植樹スペースを配置。物置小屋も含めて、道路からの視線を適度に遮ります。
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ステンレスパイプは傘立てに
玄関ポーチ部分のディスプレイスペース。背面はモザイクタイル
1階洗面台
洗面台とトイレのモザイクタイル
2階トイレ
2階ホールの洗面台
2階の子供部屋と主寝室
計画時 1階平面図(1階間取り図)
計画時 2階平面図(2階間取り図)
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