今回の敷地は埼玉県狭山市の住宅街と市街化調整区域の際(きわ)に位置し、さまざまな自然の表情を愉しむことができる環境にあります。敷地の東は、住宅が建ち並ぶ市街化区域。西から北にかけては広大な田園風景がひろがり、北東の方向には田畑の奥に智光山公園の緑を眺めることができます。
施主は若いご夫婦です。建て主さんの祖父の代から暮らしている敷地には、ご両親の住宅に連結して祖父母の住宅が建っていましたが、現在、空き家になって使われていませんでした。その家をリノベーションするのか、新たに建て直すのか…。「家づくり」は、まずはその方向性を決めることから始まりました。
古い住宅をリノベーション?それとも新築?〜設計事務所と一緒に考える家づくり〜
古き良きものを大切にしたいご夫婦は、当初、おじいさまたちが大切に過ごした昔ながらの家を直して暮らしたいお考えでした。実際に家屋調査をしたところ、建物自体は十分に改築して使える状態でした。ただ、元々の家自体が大きいので、使わない部屋がたくさん出来てしまうこと。居住性を現代のスペックに合わせようとすると、家全体を直す必要があるなどの課題が出てきたことから、新たに木造新築住宅を建てることになりました。地域とのつながりを大切にしたいという想いや、休日には美術館やギャラリーめぐりをすること。暮らしのなかに昔ながらの日本モノも取り入れたいことなど、さまざまなお話を伺ううちに、シンプルな中にもおふたりの上質なこだわりが溢れるプランが生まれました。