群馬県みなかみ町で、築150年の養蚕家屋の現状調査

群馬県みなかみ町で、築150年の養蚕家屋の現状調査

歴史的建造物の保全・活用に係る専門家(ヘリテージマネージャー)の仕事

台風19号の通過から数日、中央道は大月、八王子間は台風の影響で通行止めになっていますので、道路状況が大丈夫か心配でしたが、関越道は予想以上にスムーズでした。月夜野ICで高速道路を降りてからも、台風後の爪痕をあまり感じません。

ナビに導かれて約10分。気がつくと、周りは山々に囲まれた田畑の風景で、その美しさに圧倒されました。里山に点在する住居以外の人工物は、ほとんど見えません。青空の中で、稲架掛け(はさかけ)の稲穂が揺れています。

目的地は、小さな集落の中の一軒家。築150年の養蚕を営んでいた民家です。腕木や梁の端に桁を載せて柱より外方に出す工法の出桁造り(だしけたづくり)の屋根と2階部分。屋根から雪が遠くに落ちたり、雨や湿気などから外壁を守る利点があり、建物の外観からも、養蚕農家の特徴がうかがえます。

古くから養蚕業が盛んな群馬県。明治21年の調査によると、県内世帯の57%が養蚕農家だったそうです。

そんな養蚕は、群馬の民家構造にも大きな影響を与えました。養蚕農家の二階は、蚕室として活用できるように、仕切が無く広々としています。さらに、2階への採光や、壮蚕期に必要な空気の流れを良くするため、屋根の棟の上に、換気のために建てられた高窓も養蚕農家の特徴です。

当日は、現状の建物の図面を作成するために、柱や梁の位置、高さ関係を実測したり、材料の劣化状況などを確認しました。1階の階高が低めに抑えられていて、2階と小屋裏の三層構造になっていたり、2階の養蚕スペースは、本当に仕切りのない大空間になっています。長い年月の経過の中で、各所の修繕や大規模な増築も行われています。一般的に、古い民家の増築は大家族の個室が足りなくなって、無造作に部屋を足していく場合が多いので、元々あった部屋に採光や通風が取れなくなってしまっている状態が、多いです。

現状図面を作成した上で、建物の保存、活用方法などをどのように進めていくのがいいか、家主さんとご相談していきたいと思います。